子どものいない夫婦にとっても、「争続」は無縁のものではありません。本記事では、岡野雄志税理士事務所所長の岡野雄志氏が、子どものいない夫婦に起こりえる相続トラブルについて解説します。※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

謎の男は義弟だった。遺産はどう分配される?

その男は、道楽好きだったご主人の父親と、愛人の間に生まれた子どもでした。愛人とはいっても行きずりに近い関係で、妊娠した際に泣きつかれて子どもを認知したようです。父親はKさんが結婚前に他界したので、もちろん、奥様はその事実を知りません。

 

相続が発生すると、遺族は亡くなった方が生まれたときから亡くなるまでの戸籍を調べ、法定相続人の存在を確認する必要があります。奥様は会ったこともない舅の戸籍も調べました。

 

婚外子は民法上「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」といい、父と養子縁組を結ばなければ子は父の戸籍に入れません。しかし、父が子を認知すると、父の戸籍の「身分事項」欄に認知の事実が記載されます。認知した子の名前として、確かに男の名前がありました。

 

また、以前は、非嫡出子は「男」「女」とだけ記載されましたが、平成16(2004)年の民法改正により、「長男」「次男」「長女」「次女」…と記されるようになりました。男は「次男」と記載されており、確かに、Kさんの腹違いの弟、つまり義弟にあたるという訳です。

 

さらに、平成25(2013)年の民法および相続法の改正により、非嫡出子の相続分が嫡出子(法的な婚姻により生まれた子)の相続分と同等になりました。

 

Kさんのご主人の場合、配偶者である奥様が相続権の第1順位で、お子さんがいないため、ほかに第1順位はいません。第2順位は父母や祖父母など、直系の上の世代となりますが、いずれも亡くなっています。第3順位がご主人の兄弟姉妹で、義弟はこれにあたります。

 

ご主人の父親は借財だらけだったので、父親の相続発生の際、恐らくご主人は相続放棄したのでしょう。そのとき、義弟の存在も知ったはずです。義弟も放棄したのかもしれません。ご主人が義弟のことを奥様に告げなかったのは、恥だと思ったのか、迷惑をかけたくなかったのか…今となってはわかりません。

 

民法に従えば、今まで存在すら知らなかったご主人の義弟に、相続財産の1/4を渡さなければいけないことになります。Kさんご夫妻が長年協力し合って築いた財産です。奥様は法に従い、涙を飲むしかないのでしょうか。

 

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