※ここで紹介する年収基準額は、フルタイムで働いていることを想定しています。業種・企業規模・職種・地域により異なりますので、あくまで「目安」と考えてください。
また、各項目に記述されていることをほぼすべてできていることが、基本的にはその「年収を確保する条件」と考えて下さい。ただし、求められていることを理解・把握したうえで、まだできていないことを認識し、それを実行していくことにより、年収を確保することも可能です。
※「成果による加算」については、成果を上げたときに賞与で加算されることを想定した金額です。賞与の制度は会社によって大きく異なりますので、こちらについてもあくまで目安であり、想定年収の幅と考えていただいて構いません。
「日本人の平均給与」に求められる仕事レベル
<プロジェクトリーダー・主任クラス>
年収基準=420万~(成果による加算=70万)
■求められる仕事のレベル
5人程度の少人数のチームを取りまとめることです。後輩の指導をする、よりよい結果を導くための改善を働きかけ、業務の効率化を実現することが求められます。自ら率先して的確に動き、周囲を巻き込むことが必要です。
■身につけておきたいビジネスの基本知識・スキル
ロジカルシンキング、効果的なコミュニケーションスキル(傾聴力・プレゼンテーションスキル)、チームのPDCA(計画⇒実行⇒評価⇒改善)設定。
■年収アップのポイント
所属する課の運営に関して課長から信頼を得ながら、補佐し、一部を代行していく。任された分野の成果を確実に出す。後輩の話をよく聞き、導き、信頼されることなどが年収アップにつながります。
安泰の老後への第一歩…年収500万円台を目指すには?
<プロジェクトリーダー・主任クラスのコンピテンシー>
01:動機づけ
チームの目標達成のために、周囲に積極的に働きかけ、仕事の目的や意味を伝え、理解させ、熱意を持って動機づけする。チームの活性化を促進する。モチベーションが下がっているメンバーを適宜フォローする。
02:改善
あるべき姿と現状の差異を確認し、問題を把握し、より良い方法を常に工夫する。無駄を排除し、より効率的な仕事の進め方を考え実行する。
03:異文化コミュニケーション
文化や価値観の違う人とコミュニケーションし、理解し、共感する。また自身の価値観や文化について伝え、理解を得る。
04:プレゼンテーション
わかりやすく、はっきりと、要点を効果的に伝える。相手の人数にかかわらず、プレゼンテーションツールや技法を用いて、聞き手の理解と共感を得ながら、伝えるべきことをすべて伝える。
05:柔軟な対応
環境変化、相手の要望の変化に適切に、かつ前向きに対応する。臨機応変に立ち回る。
06:創造的能力
未体験の問題解決に適した新たなアイデア(モノ、方法、しくみ、発明など)を生み出し、企業活動に価値あるものとして具現化する力がある。常に新しいことを発想し、それを形にしようとし、新たな価値を生み出している。
07:進捗管理
プロジェクトの目標達成に向け、計画の進捗管理を行う。計画に設けられたマイルストーン時点での達成状況を確認する。実行の優先順位をはっきりさせる。進捗に問題があるときは、計画修正を行い、達成に向けて管理する。
08:問題分析
問題を客観的・構造的かつ網羅的に捉える。必要に応じて適切な分析ツールを用いながら、問題の本質を見抜く。
年収「平均~それ以上」の正規雇用者に求められる仕事
<課長クラス>
年収基準=500~700万(成果による加算=100万)
■求められる仕事のレベル
5〜10名単位のチームを率いて、組織の結果を出すことです。自身の動き次第でチームの成果が異なってきます。上位組織の会議体に参加し、意見も求められます。チームメンバーのモチベーションを高めることや、人材育成の責任も負います。
■身につけておきたいビジネスの基本知識・スキル
タスクマネジメント・ヒューマンマネジメントに関する知識を有し、活用する。キャリアビジョン・キャリアプランに関する知識、モチベーションに関する知識、関連する業界の動向に関する知識と情報の獲得。特定分野の専門性。
■年収アップのポイント
チームの目標設定に際して、全社・事業部門の戦略を理解したうえで、意味のある目標を設定していく。目標達成についての信頼を上げていくことが重要です。
課長クラスになれば、BSやPLに関する知識を
<課長クラスのコンピテンシー>
01:変革力
これまでの慣習・前例に捉われない新たな取り組みを行う。現状への危機意識を持ち、常に新しいことを常識に捉われずに試行し、実績につなげる。反対勢力が現れてもそれに屈せずに進んでいく。
02:目標設定
業績を向上させる、また、より組織効率を高めるような適切な目標を、達成基準を明確にして設定する。組織目標を明示し、正しく理解させるために周囲に働きかけ、個人目標にブレイクダウンし、個々の適切な目標設定をさせる。
03:計画立案
無理なく目標達成することができる、考え抜かれた現実的な計画を立案する。
04:計数管理
計数に明るくプロフィット&ロス(PL)やバランスシート(BS)に関する知識を有する。財務的視点、計数的視点から物事を捉え分析する。自社、自部署の収益構造を理解しており、業績をあげるための適切な施策を実行する。
05:人材育成
メンバーのそれぞれの能力向上を働きかける。個別の目標・課題設定を促し、評価し、良い点・改善点のフィードバックを適切に行い、気づきを与え、成長させる。
06:解決案の提示
適切な状況判断を行い、解決のための複数の選択肢を案出する。それぞれの選択肢のメリット・デメリットを整理し、合理的な決断を促す。
07:傾聴力
相手が「わかってくれた」と思うまで相手の話をよく聞き、理解する。相手に理解していることを示し、信頼を得る。
08:スペシャリティ
業務に必要な専門知識や技術を有し、実際の業務においてそれを活かす。自らの専門性を常にブラッシュアップし、かつ専門外の人にわかりやすく伝える。他の専門性との連携を適切に行う。
西尾 太
人事コンサルタント
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】