大半のビジネスパーソンは「年収700万円」が天井
年収500万以上は、課長クラスです。小単位の組織を率いる、いわゆる管理職ということになります。マネジメントとは「経営資源を有効に活用し最大の成果をあげること」。経営資源とは「人・モノ・カネ・時間・情報」です。これらをムダなく活用し、最短距離で目標を達成することが求められます。
マネジメント範囲の大きさ、チームで成果を安定的に出していくことによって、課長クラスなら500万〜600万以上の年収レベルが見えてきます。
マネージャーでなくても、一定以上の専門性を有して、会社や部門、または顧客に対して、有効な提案を行い、それが受け入れられ、成果に結びつく新たな価値創造ができるのであれば、600万円程度の年収は安定的に望めます。
管理職ということで、課ぐらいのチームを任せられる人なら、700万円ぐらいまでの年収が望めるでしょう。
ただし、それ以上の年収を望む場合には「部長クラス」になるという大きな壁があります。課長はできるけれど、部長はできない。そういう人は多く、課長クラスで留まることがほとんどなのがビジネスパーソンの実情です。
年収800万以上をめざすなら、「戦略」や「変革力」といった極めて高いレベルの知識やスキルを身につける必要があります。
年収800万以上超に求められるリーダーシップ
年収800万以上は、いわゆる部長以上のクラスです。ここで求められるのは、リーダーシップです。仕組みをつくり、回すことが「マネジメント」だとすると、次に生み出すべき価値をつくることが「リーダーシップ」になります。
部長クラスは、組織の3年後、5年後の姿を見据え、戦略策定を行うことが重要な任務となります。戦略とは「やるべきこと」と「やらないこと」を明確に示すことで、一定以上の経験・知識、戦略フレームなどの知識による事業戦略、組織戦略、人事戦略、財務戦略のいずれかに長けている必要があり、高度な勉強が必要です。
こういったことを教えているのがMBAを取得するビジネススクールで、そう簡単にはできない領域です。「理想と現実」をしっかり見極め、実のある戦略提案ができなければ、年収800万を超えることは難しいでしょう。
部長クラス以上のリーダーは、組織や会社の命運を左右する重大な決断を下し、その責任を取る覚悟も求められます。
だからこそ、こうした高度なスキルや知識、経験を身につけている人は希少価値が高く、大きな企業であれば年収1000万以上を望むことができます。
年収1000万円以上は「組織のビジョン」を示せる人材
年収1000万以上は、社長やそれに準じる役員クラスです。このクラスに求められるのは、組織の「ビジョン」を示すことです。
中長期的な視野を持ち、3年後、5年後には、自社や自部門はどのような姿になっているのか、何を実現しているのか、何を目指しているのか、世界や日本の動き、経済や景気、マーケットの動向、自社と競合のトレンドなど、多くの情報を集め、リスクも考慮した多角的な視点を持つことでビジョンを明確にし、社員や経営陣に提示します。
組織にいそうで、なかなかいないのがこのレベルの人です。社長であれば、会社の命運を背負って自ら示す覚悟と責任が必要です。役員であれば、社長と渡り合い、コンセンサス(意見の一致)を取り、批判や反対をされても、根拠を示して説得する信念が求められます。
執行役員や本部長、上級役員などと呼ばれるこのクラスの年収は、負う責任の大きさ、見る組織の大きさによって変わり、中小企業でも1000万以上、大手であれば1500万や2000万、大企業になれば億単位の年収も望めます。
専門職の年収アップにも「マネジメント力」は不可欠
課長や部長や役員にならなくても、「専門職」として年収を高める方法があるのではないか、と考える方もいるでしょう。
はい、もちろん、高度な専門性で高い年収を得ている人もいます。その専門性が希少であればあるほど、年収は高まるでしょう。
ただし、活躍しているスペシャリストの多くは、実は高度な「マネジメント力」を有しています。組織を率いていなくても、社内外のネットワークを持ち、それらを有機的に活用して、大きな成果をあげています。
私は「人事部長」になりましたが、経験を積むにしたがって、一定の人事の専門性も有するようになりました。
また、専門性が陳腐化するということも考えられます。3年前は希少性が高かったけれど、今は一般化してしまい、優位性がなくなってしまう、ということです。専門性は常にブラッシュアップしていなければ、年収は維持できません。
その意味でも、専門性と、社内外のマネジメント力の双方を有していると強いと考えます。専門家で年収の高い人は、やはり部長や役員クラスと同等のマネジメントスキルを有しているものです。
西尾 太
人事コンサルタント
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