中山てつや氏は著書『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』のなかで、職場における諸問題について語っています。当記事では、中山氏のキャリアコンサルティングとしての実務経験をもとに、日本の企業における問題点を考察していきます。

「第一印象がすべて」ではないけれど…

人は、他人と会ったその瞬間に、「自分の敵か味方か」「自分の役に立つかどうか」を判断しています。「第一印象」を侮ることはできません。

 

会って話し込むうちに、打ち解けてきて、「なんだ、結構いいやつじゃないの」とか、「この人とならやっていけるかも」となる場合もありますので、第一印象がすべて、というわけではありません。

 

しかし、人は間違いなく最初の印象で、ある程度の区別を、無意識のうちにしています。まさに、人間として生き残るための「本能の成せる業」と言えましょう。

ケミストリーという言葉に込められた強烈なメッセージ

「合う合わない」や「好き嫌い」は、「相性」という言葉でくくることもできます。「相性がいい、悪い」など、日常的にもよく使われています。相性のことを、英語でケミストリー(chemistry)といいます。

 

外資系企業で仕事をしていると、「どうも、あの人とはケミストリーが合わないようだ」とか、「これは単にケミストリーの問題だから、どうしようもない」といった内容の話をよく耳にします。

 

ケミストリーという言葉には、他にも「化学」という意味があり、『文明論之概略』という名著の中で、象徴的な表現として使われています。

 

「水酸化ナトリウムと塩酸は個別にはどちらも激烈なもので、金属をも溶かす力があるが、これを化合すれば食塩となって普段の台所で役に立つ。一方、石炭と塩化アンモニウムはともに激烈な作用をもつわけではないが、このふたつを化合すると気体アンモニアとなり、人を卒倒させる」(現代語訳『文明論之概略』福澤諭吉著、齋藤孝訳、ちくま文庫、153頁)

 

「ケミストリー」という言葉には、日本語で単に「相性」という表現で片づけてしまうにはもったいないくらいの、強烈なメッセージが込められています。相性が悪い人と一緒に、何かをするということは、とてつもない「化学反応」を起こす可能性があるわけですから、一歩間違うと、大やけどを負ってしまいます。

 

会社であれば、場合によっては、左遷や降格、減給などにつながるかもしれません。最悪のケースは、リストラの憂き目に遭うこともあります。

 

(画像はイメージです/PIXTA)
(画像はイメージです/PIXTA)
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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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