贈与税のかからない「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」という制度は、きちんと理解して使わないと自身の医療費や生活費が足りなくなってしまうことがあります。ファイナンシャルプランナー・安田まゆみ氏の『そろそろ親とお金の話をしてください 』(ポプラ新書)より孫への教育資金の渡し方について解説していきます。

「孫のために銀行口座に1000万円」恐ろしいことに

国税庁のタックスアンサー「贈与税がかからない場合」に、次のように書かれています。

 

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2 夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの

 

ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。

 

なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。

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それでも、自分がもっと高齢になったり、病気になってしまったら孫を祝いたくても祝えない、元気なうちに孫の喜ぶ顔を見たいからと、銀行にお金を預けてしまう。私自身、孫を持つ身ですから、その気持ちはわかります。

 

でも、いくら非課税枠だからといっても、そこで500万円なり1000万円なりを手放してしまうと、それは何があっても戻りません。孫のために張り切って資金援助しても、それによって祖父母自身の家計が苦しくなったら元も子もないでしょう。

 

まずは高齢者本人と配偶者の生活資金および、先々にかかるであろう資金を確保した上で、口座を開設するかどうか検討しましょう。そして、開設する場合は無理のない援助額を決定することが大切です。

 

ここまで読んで気づいた人もいるかもしれませんが、祖父母、つまり自分の親が、リスクも顧みず資金援助型の口座を開設したりするのは、子どもに代わって孫の援助をするため。つまり、子どもの負担を少しでも軽くするためです。

 

しかし、子どもの側が何も考えずにそれをただ「ありがたや」と受け取っていると、後で痛い目に遭うかもしれません。そうやって親が自分のお金を手放してしまった後に、万が一、病気になった時の医療費や、やがてやってくる介護の費用を誰が負担することになると思いますか?

 

無意識のうちに親のお金をアテにしていないか、その結果、どうなるのか。親から申し出があった際にはもう少し先のことまで、あらためて考えてみる必要がありそうです。

 

安田 まゆみ

元気が出るお金の相談所 所長

 

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そろそろ親とお金の話をしてください

そろそろ親とお金の話をしてください

安田 まゆみ

株式会社 ポプラ社

離れて暮らす親の老いは、子どもにとって心配の種。 そのひとつに「お金」の問題があるが、親子の間でもお金の話はなかなか聞きづらく、つい先送りにしてしまっている人が多い。 だが、もし親が認知症になってしまったら、…

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