猫年齢早見表は猫20歳(人間で96歳)まで
先代の猫と比べると
グレはわたしにとり2代目の猫だ。先代の猫は、下町の猫好き一家で生まれた。この子はメスのトラネコだったので、「メトラ」と名付けた。ちなみに、グレはグレーの毛色だったので「グレ」と名付けた。猫好きの割には思い入れのない名前をつけるわたしだ。
先代の猫は、メッちゃんの愛称でみんなにかわいがられた実に楽な猫だった。人懐こくて、甘えん坊でわたしのお腹の上で100回以上ごろごろ言いながらもみもみする。「もういいから」というと、今度はざらざらした舌で顔をぺロペロなめはじめる。人間と同じで、愛情たっぷりに育てられた子は、おっとりしている。しかし、2代目のグレは違う。
顔を寄せると、なめるどころか噛む。しつこく触ろうものなら、本気でガブリ。甘噛みなんかではない。彼女は本気だ。そのせいで、わたしの手や顔はいつも傷だらけのジョージ。それでも許されるのが猫だ。
先代のメッちゃんが20歳まで生きたので、グレもそのくらいだろうと勝手に思い込んでいたが、ある日、机の上にきちんと前足を揃えて座っているはずのグレの右足が、少し曲がっているのに気づきはっとした。
「あれ? グレちゃん、なんか急に年をとったみたい」
そう言えば、階段を猛スピードで駆け上がっていたグレだが、最近はスピードが落ちているような気がする。あわててネットで調べてみると、猫の平均寿命は15歳。猫年齢早見表によると、猫13歳は人間の68歳だそうだ。
そうか、わたしが気づかぬ間に、グレも前期高齢者になっていたのだ。
美しい猫にはとげがある
ちなみに、この猫年齢早見表は、猫20歳(人間で96歳)で終わっている。
グレも年をとり、以前ほどアクティブでなくなったせいか、いつもわたしがいる1メートル以内にいるようになった。そして、わたしの行動を観察している。
日中、わたしが出かけているときは、ひとりで淋しいのか、1階に行って玄関でゴロンとしていたり、妖怪のそばにきているようだ。
妖怪がそのときとばかりに、体を撫でると、1回だけにしておけばいいのに、2回、3回と撫でるものだから、ガブリと噛まれる。そのたびに、
「あの子は猫ではない。怪獣だ! あんな凶暴な猫は見たことがない」
と叫ぶ。
そして、懲りずにまた触ろうとするので、また噛まれる。
薔薇と同じで、美しい猫にはとげがある。
松原 惇子
作家
NPO法人SSS(スリーエス)ネットワーク 代表理事
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