2021年1月分「機械受注」のデータ

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

1月分機械受注(除船電民需)は前月比▲4.5%と4ヵ月ぶりの減少に。遡って季調替え

 

製造業・前月比▲4.2%、非製造業(除船電民需)・前月比▲8.9%とともに減少に

 

基調判断は、12月までの3ヵ月連続上方修正から、1月は「持ち直している」で据え置き

 

1~3月期見通し季調替えで前期比▲8.5%→▲6.0%。残り各月前月比▲5.3%で達成

 

 

●1月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は▲4.5%と4ヵ月ぶりの減少になった。3ヵ月移動平均は前月比+0.6%で5ヵ月連続の増加になった。底堅さが感じられる数字である。機械受注(除船電民需)の前年同月比は+1.5%で2ヵ月連続の増加になった。

 

●機械受注(除船電民需)の大型案件をみると、前回12月分では大型案件は0件であったが、今回1月分でも大型案件は0件であった。

 

●1月分製造業の前月比は▲4.2%と2ヵ月ぶりの減少だ。1月分の製造業では17業種中、11業種で増加し、減少は6業種だった。

 

●1月分非製造業(除船電民需)の前月比は▲8.9%と4ヵ月ぶりの減少になった。大型案件がなかった1月分の電力業は前月比▲38.7%と、大型案件が2件(原子力原動機1件、火水力原動機1件)で前月比+42.2%の増加となった12月分の反動が出た。1月分の船舶・電力を含む非製造業全体では前月比▲8.6%の減少になった。非製造業12業種中、2業種が増加で10業種が減少となった。

 

●大型案件は、前回12月分は7件。内訳は、民需が前述の電力業2件、官公需が防衛省2件(航空機2件)、外需が3件(鉄道1件、電子計算機等2件)であった。今回1月分は2件。内訳は、外需が2件(船舶1件、電子計算機等1件)であった。

 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は1月分前月比+4.7%と2ヵ月連続の増加となった。一方、前年同月比は▲8.7%と21ヵ月連続の減少になった。

 

●外需は1月分前月比+6.4%と4ヵ月連続の増加になった。前年同月比は+15.5%と4ヵ月連続の増加になった。最近の輸出の堅調さと整合的な動きであろう。

 

●内閣府の基調判断の推移をみると、19年10月分から20年3月分まで半年にわたり「機械受注は、足踏みがみられる」という判断であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく出た4月分では「機械受注は、足元は弱含んでいる」という判断に下方修正され、5月分では判断据え置きになった。6月分では「機械受注は、減少している」という判断にさらに下方修正され、7月分では判断据え置きになった。8月分で「機械受注は、下げ止まりつつある」に上方修正され、9月分でも据え置きになった。10月分で「下げ止まっている」に上方修正となったあと、11月分で「持ち直しの動きがみられる」に上方修正、12月分では「持ち直している」に3ヵ月連続で上方修正となった。今回21年1月分では「持ち直している」で判断据え置きになった。機械受注(除船電民需)の3ヵ月移動平均が5ヵ月連続増加したことなどを反映しているようだ。

 

●機械受注(除船電民需)1~3月期の前期比見通しは季節調整替えで前期比▲8.5%から▲6.0%に変更された。新型コロナウイルス感染拡大の状況下、企業が設備投資に慎重になっているとみられる。1~3月期の前期比実績は09年(平成21年)から昨年までの12年間でみると、上振れ7回、下振れ5回であり、若干上振れしやすい傾向がある四半期である。21年(令和3年)の見通しは単純集計値に過去3四半期平均の達成率93.4%をかけたものである。1~3月期の前期比見通しの▲6.0%を達成するためには、2月~3月の各月分が前月比▲5.3%が必要である。各月分が前月比0.0%なら1~3月期の前期比は▲0.8%になる。

 

 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの20~21年の動きをみる。20年1月の現状判断DIが52.8(同9人)と18年12月分の55.0以来の50超であった。当時の設備投資関連・現状判断DIからは底堅さが感じ取れるようになってきていた。しかし、新型コロナウイルスの影響で現状判断DIは4月10.0(同5人)へと急落した。4月を底にその後、緊急事態宣言解除もあり、多少の上下はあったものの11月は50.0(同13人)まで持ち直した。しかし、その後は新型コロナウイルス感染再拡大の中、12月は44.4(同9人)、21年1月は39.3(同7人)、2月は37.5(同14人)と低下している。2月のコメントには「電子部品関連は回復基調にあるものの、機械装置関連は依然として取引先の設備投資再開までには至っておらず、まだまだ時間を要する」(中国、電気機械器具製造業〔総務担当〕)と依然として設備投資再開までには至っていないことを指摘するものがあった。

 

 

●一方、設備投資関連・先行き判断DIは2019年11月には51.8(同16人)と1月以来の50超に戻ったが、そこから下落し、20年4月は18.8(同8人)と弱含んだ。新型コロナウイルスの影響によるところが大きい。4月をボトムに持ち直し、一進一退状態もあったが、9月に45.5(同11人)まで戻した。その後、10月は41.1(同14人)、11月は35.0(同5人)、12月で45.8(同12人)、21年1月(同7人)64.3、2月(同9人)44.4と推移してきた。2月では「新型コロナウイルスの影響が段々と収束すると同時に、設備投資も行われるという期待から、景気はやや良くなってくるのではないかと考える。(東海・電気機械器具製造業〔経営者〕)」と先行きの改善を期待するコメントも出ている。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年1月分「機械受注」のデータ』を参照)。

 

(2021年3月15日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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