会費をすべて必要経費にすると問題になる場合も
また、いずれにしても支払った会費が、どういった目的で使われるのかを確認しておかなくてはなりません。たとえば、毎年、団体に旅行費を積み立てているとしたら、その旅行は売上に直結するものなのか、あるいは単なる親睦のためなのかといった点が判断を分けるポイントになってきます。
こうした判断は、自分だけではなかなか難しいでしょう。そのため、ある程度大きな同業者団体の会費については、募集要項などで「必要経費にできます」といった説明がなされている場合が少なくありません。
たとえば青色申告会の会費については、支部によっては「青色申告会の会費は事業上の必要経費になります」「勘定科目は租税公課または諸会費となります」といった具体的な案内がなされています。私が加入している一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会でも、ホームページ上のFAQに「年会費は必要経費として計上可能です」と明記されていました。
このように、会費が必要経費になるかは、団体ごとにすでに明らかにされている場合が少なくありませんから、これから入会を検討するのであれば、窓口に問い合わせてみるといいでしょう。
とにかく、会費と名のつくものをすべて必要経費にしていると、あとで問題になる可能性があるため注意してください。
本記事は「確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?」(河出書房新社)の一部を抜粋し、2021年2月現在の法令等に合わせ加筆したものです。法改正などにより、内容が変更となる可能性があります。
小林 義崇
フリーライター 元国税専門官
【関連記事】
税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】