「毎年確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年1月頃になるとこのような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

パソコン購入「10万円以上と未満」どっちが得か?

正解:一括で経費にするなら、1個10万円未満のモノを買う

 

パソコンやクルマなど、1年以上使うことのできる物品を購入するときに注意したいのが、「減価償却」の問題です。具体的には、「その物品は10万円以上か?」ということを気にしなくてはなりません。

 

10万円未満の支払いであれば、「消耗品費」として全額を一括で必要経費にすることができるのですが、10万円以上になると、「減価償却」というルールが適用され、必要経費を数年に分割することになります。

 

10万円未満なら「消耗品費」として全額を一括で必要経費にできる。10万円以上になると、「減価償却」というルールが適用されるが…。(※写真はイメージです/PIXTA)
10万円未満なら「消耗品費」として全額を一括で必要経費にできる。10万円以上になると、「減価償却」というルールが適用されるが…。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

まずは、減価償却のしくみを理解しておきましょう。とくに個人事業をする人にとっては、重要です。

 

10万円以上の固定資産を購入した場合、その固定資産の内容によって、何年間の必要経費に分割するかが決められます。この年数の基準を「耐用年数」と呼び、国税庁が公開している「耐用年数表」で確認することができます。

 

耐用年数表では、同じようなモノであっても、かなり細かく耐用年数が分けられています。

 

たとえば事務机については、おもに金属製のものは15年、その他は8年です。建物はとくに細かく、木造か鉄骨かという構造の違いに加えて、事務所用、店舗用・住宅用、飲食店用といった利用状況にも応じて耐用年数が異なります。

 

では、この耐用年数がどのように税金に影響するのでしょうか?

 

減価償却の計算方法は「定額法」と「定率法」の2種類がありますが、もし定額法を選択した場合、購入費を耐用年数で割った金額が、減価償却費という名目で毎年の必要経費となります。

 

たとえば新品のパソコン(サーバーとして使うものを除く)を買った場合、耐用年数は4年です。このパソコンが12万円の金額だったとすれば、減価償却費としては12万円÷4年=3万円になります。つまり、必要経費としては3万円を4年間計上するということです。

 

定率法になると計算方法が変わってきます。その詳細にはここでは触れませんが、定率法を選択した場合、1年目の減価償却費がもっとも多くなり、だんだんと減っていくことになります。

 

次ページ30万円未満の少額減価償却資産は一括経費計上可能
確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

小林 義崇

河出書房新社

クイズ形式で出題。ベスト・チョイスはどっちか? 青色申告or白色申告。開業届を出すor出さない。家族を雇うorパートを雇う。iDeCo or小規模企業共済。郵送で申告or e‐Tax。国税専門官として数多くの申告相談に携わった著者…

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