親が介護保険の申請を拒否したらどうするか
親が介護保険の申請に非協力的である
介護で共倒れにならないための、頑張らない介護が推奨されています。ひとりで介護を抱え込まないで他人の力を借りましょうというものです。要するに、介護保険のサービスをうまくとりいれながらやりくりしましょう、ということです。これはある意味、介護者家族寄りの感覚で、介護をされる本人である親の視点ではありません。
親からしてみれば、「昔は家族だけで対応したものだ」「まだ夫婦でやっていける、年寄り扱いするな」「他人が家に入るなんてとんでもない」と感じているかもしれません。親の本心がこの状態であると介護保険申請は難しくなってしまいます。今と昔では介護を担う年数も、子世帯の働き方も変わってきています。お互いに主張し合うだけだと疲弊するだけで解決には至りません。
介護保険らしくないサービスがあることを伝える
親が介護保険の申請を拒否している場合は、どうしたら良いのでしょうか。本人が嫌がっているから無理強いはできないと、家族が介護を抱え込むケースはまだ多く見られます。親は、介護保険の申請=施設入居やデイサービスの利用と思い込んでいる可能性があります。
介護は受け付けなくても医療には関心がある場合があります。訪問看護やリハビリがあること、薬剤師の訪問も受けられること、おまけに、手すりの設置や段差解消に補助金が出るなど住宅改修の利点を伝えてみるのも手です。介護保険料を払っているのだから、使わなくては損だよとお得であることをアピールしてみても良いかもしれません。
親の説得には他人からの打診が有効
それでも親が頑なに拒否をする場合は、医者から介護保険の申請を勧めてもらいましょう。必要性がある場合は、躊躇しなくても大丈夫。事前に相談ができれば良いのですが、同行をして理由を話し先生のご意見を伺ってみてください。
地域包括支援センターの場合、事前に子だけで訪問をして状況を伝えてください。そして、後日、センターの職員に訪問を依頼し、感情や損得なしの説明を専門職からしてもらいましょう。身内よりも、特に専門性の高い他人からのアドバイスであれば、同意するというケースも多くあります。
介護保険を申請しないリスクを話し合う
一方の親が歩行困難になった場合、どのようなリスクがあるかを考えてみましょう。例えば家族が24時間介護に専念することになり心身ともに疲弊する。寝たきりになり廃用症候群など症状が悪化する、などが考えられます。まずは本音でリスクについて話してみてください。
食わず嫌いではないですが介護保険サービスを利用してみると、気分転換や身体が楽になることも多々あります。試してみてイヤだったら利用をやめれば良いのです。気が向かない日は休んでも良いのです。親世代は、申請したら使わないと迷惑になると考えているのかもしれません。色々と心配しているようであれば介護事業所やケアマネージャーには子が仲介をして事情を話すなど、親を安心させてあげてください。
渋澤 和世
在宅介護エキスパート協会 代表
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