不動産オーナー(大家)ならば、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震など近年の大規模な地震被害などもあって、消防法が厳しくなってきたのはご承知のところだと思う。ひとつは、ビルやマンションの建築で5階建て以上のマンションには、避難通路を2方向に向けて設置、外部避難通路が新たに加わった[図表1]。そのため建築費用は上昇し、外部避難通路を増設することで部屋数が減ってしまうなど影響も出る。

エレベーターのあるなしで「1000万円」もの差が…

■EVのある物件と、ない物件の家賃収入

 

エレベーターを設置するには、1フロアに最低でも5平米の施工面積が必要になる。単純に部屋数がひとつ減ると考えていい広さだ。

 

そこで、5階建てでエレベーターが「ある物件」と、4階建てでエレベーターが「ない物件」を、建物を建設して家賃収入を得るという観点で比較してみる。

 

月の家賃は「ある物件」が、5階建てで各階に3部屋の計15部屋、月の家賃を5万円に設定すると、月額家賃収入は75万円。「ない物件」は、4階建てで各階4部屋の計16部屋ということになるので、月額80万円になる。

 

これに大家が支払うエレベーター管理費を5万円として差し引くと、「ある物件」と「ない物件」の月収入は10万円の差が出る[図表4]。

 

[図表4]
[図表4]

 

■EV設置と建築コスト

 

エレベーターの設置費用(工事費)は1フロア約150万円。土地代が一緒で、1部屋の建築に700万円掛かり、家賃を5万円とするなど前提条件を一緒にして建築コストを比較した場合は次の通りだ。

 

4階建てでエレベーターが「ない物件」は、家賃が4部屋×4階=16部屋で家賃収入が年間960万円、建築費は16室×700万円で1億1200万円となり、土地代は2240万円で、利回りは約7.14%。

 

一方、5階建てでエレベーターが「ある物件」は、エレベーター設置費750万円(150万円×5フロア分)、家賃が3部屋×5階=15部屋で家賃収入が年間900万円、建築費は15室×700万円で1億500万円となり、土地代は2240万円で、利回りは約6.67%。

 

ざっくりとした計算だが、ざっと1000万ぐらいの差が生じている。土地の価格は同じでも、エレベーターの設置分の費用が余分に掛かり、部屋数も違う。もうお分かりだと思うが、私は4階建てでエレベーターが「ない物件」を提案してきている。

次ページエレベーター、10階建てで交換費用はなんと…

本記事は2019年9月刊行の書籍『大家業は寝ててもチャリンチャリン 工務店社長が教える4つの核心』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。最新の情報・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

大家業は寝ててもチャリンチャリン 工務店社長が教える4つの核心

大家業は寝ててもチャリンチャリン 工務店社長が教える4つの核心

桃田 健史

幻冬舎メディアコンサルティング

「南向きと北向き、本当に選ぶべきはどっち?」「物件は【ようかん型】ではなく【全戸角部屋型】を選べ」「キャッシュフロー=利益ではない!?」「家賃収入で生活をしてはいけない、その理由」etc. 知って始める、やって楽し…

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