不動産オーナー(大家)ならば、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震など近年の大規模な地震被害などもあって、消防法が厳しくなってきたのはご承知のところだと思う。ひとつは、ビルやマンションの建築で5階建て以上のマンションには、避難通路を2方向に向けて設置、外部避難通路が新たに加わった[図表1]。そのため建築費用は上昇し、外部避難通路を増設することで部屋数が減ってしまうなど影響も出る。

「ようかん型」アパートの致命的な欠点

■理想的なプランは全戸角部屋

 

日の当たる部屋や風通しの良い部屋は入居者が求める最大のニーズといえる。私のプランは物件の真ん中を十字に切ることから始まり、中心部に廊下や階段などの共用部を配置し、建物の核となるコアをつくることからスタートする[図表5]。

 

[図表5]
[図表5]

 

これはアパートやマンション、住宅の場合も一緒で建物の中央に十字の線を入れることで4つの端(角)部屋ができる。朝日が入る方向を確認し、どう採光窓を取っていくのか、バルコニーの位置などを決める。

 

一般的に見かけるアパートは、いわゆる部屋を横に並べた「ようかん型」がほとんどだ。なぜ角部屋プランにこだわるのかというと、ひとつは採光窓と通風窓が取りやすいこと、隣部屋の音や騒音などの問題も、ある程度防ぐことができること。独立感でいうと、やはり端部屋の人気があることだ。家賃アップも見込まれる。

 

■「ようかん型」の欠点と角部屋プランの利点

 

「ようかん型」のアパートはコストが安くて建設しやすいので、ハウスメーカーなどが得意としている構造だ。「ようかん型」の利点は、南向きの土地であれば全ての部屋に南向きのバルコニーがつくれること。

 

一方でデメリットは、部屋の玄関や共用部である通路の廊下や階段が外部と接しているため、汚れやすくまた、壊れやすいこと。錆びなどが出て、見た目や印象が悪くなる。錆びた階段は誰が補修するのか? 専門業者に頼めば費用も掛かる。

 

こまめなオーナーなら自分でペンキを塗ったりする人もいるが、いずれもお金と時間を掛けなければきれいにならない。共用部の片廊下なども問題が山積みだ。まめなメンテナンスと共用スペースの掃除などは必須で、錆びなどで見栄えが悪いと入居者が決まらないなど悪循環も生まれる。

 

これに対し、角部屋プランは室内に部屋までの導線があることで雨風を防ぐことができ、自転車なども室内に置ける。廊下や階段などの共用部を箱の中に持ってくると、20〜30年たっても錆びないし、きれいである。長い目で見れば角部屋タイプがいいことが必然的に分かるはずだ。

 

■住宅プランは家族の顔を思い浮かべて考える

 

朝日の方向など何も考えずにプランを勧めてくる設計士も中にはいるので、注意が必要だ。住宅なら基本は朝日が入る方向を確認して、寝室やリビングの位置や玄関の場所を決める。室内の階段はマンションと一緒で、中央付近に家族のみんなが顔を合わせるようなところを想像して穴埋めしていけば、十分にいいプランができるはずだ。

 

説明を怠る設計士も数多い。家を建てるときは必ず設計士に「朝日はどちらから入るんですか」と尋ね、「寝室とリビングに朝日を入れてください」とお願いする。

 

「朝日がどこから入る?」これがキーワードだ。

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本記事は2019年9月刊行の書籍『大家業は寝ててもチャリンチャリン 工務店社長が教える4つの核心』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。最新の情報・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

大家業は寝ててもチャリンチャリン 工務店社長が教える4つの核心

大家業は寝ててもチャリンチャリン 工務店社長が教える4つの核心

桃田 健史

幻冬舎メディアコンサルティング

「南向きと北向き、本当に選ぶべきはどっち?」「物件は【ようかん型】ではなく【全戸角部屋型】を選べ」「キャッシュフロー=利益ではない!?」「家賃収入で生活をしてはいけない、その理由」etc. 知って始める、やって楽し…

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