老後資金。「年金は頼りにならない…」といった報道は少なくありませんが、実際に足りない金額とはいくらなのでしょうか。

少々の蓄えではあっという間に底をつく

公的年金には2種類あります。

 

●国民年金(老齢基礎年金)……主に自営業者が加入

●厚生年金(老齢厚生年金)……主に会社員・公務員が加入

 

日本の年金は賦課方式です。自分の将来のために年金を積み立てているのではなく、そのときの高齢者をそのときの現役世代で支えるしくみです。

 

2016年版の高齢社会白書によれば、高齢者1人に対する現役世代の比率は年々低くなっており、2060年には、65歳以上1人に対して現役世代1人の時代がやってくると予測されています。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

現在でも、年金だけでは老後の生活資金がまかなえない状況ですが、これからはもっと厳しいことになるでしょう。引退したときに、私たちが現役時代と同じ生活レベルを維持しようとしても、少々の蓄えではあっという間に底をついてしまうかもしれません。

老後に必要な費用を見積もると…

では、高齢者は年金をいくらくらい受け取っているのでしょうか。2014年の厚生労働省の統計を見てみますと、老齢厚生年金の受取額は全国平均で14万7000円です(生涯平均月収の約40%)。これから年金制度が変わったり減額されたりということがあるかもしれませんが、だいたいの目安を見るために、もらえる年金をシミュレーションしてみましょう。

 

20歳から10年間、平均年収400万円で会社勤めをした後、

 

①平均年収400万円のまま会社員を続けて、60歳まで勤めた場合

②そのまま会社員を続けて、31歳から60歳までの平均年収が1000万円だった場合

③31歳でフリーランスあるいは専業主婦等になり、国民年金に切り替わった場合

 

それぞれの年金の受取額を試算すると、①は165万円(月13万7500円)、②は年間約240万円(月20万円)、③は100万円(月およそ8万3000円)です。

 

例えば①のケースでは、働いていたときは年収400万円だったものが、60歳で辞めたあとは年金165万円となるので、今までと同じ生活を続けていきたいと思ったら400万円-165万円=235万円が毎年足りなくなってしまいます。そして、60歳から90歳までの30年間では、235万円×30年=7050万円が不足することになります。

 

皆さんも老後の生活費がどれだけ不足するかを計算してみてください。インヴァランスが首都圏在住の20~30代の社会人女性600名に対して行ったアンケートで、「老後に毎月必要だと思う金額」は20代女性で平均22万1433円、30代女性で平均21万1300円でした。

 

また生命保険文化センターが、全国400地域で18~69歳の男女を対象に行った調査(2016年9月発表)によると(回答数4056人)、「夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考えられている最低日常生活費」の平均額は月額22万円です。さらに、同調査での「経済的にゆとりのある老後生活を送るための費用の上乗せ額」を見てみると、月額平均12.8万円となっています。この調査から見ると、ゆとりある老後生活を送るためには、平均月額35万円くらいは必要だといえそうです。

 

仮に、平均年収が1000万円になるまで仕事を頑張った②のケースでも、退職後にもらえる年金はたったの年間約240万円です。基本的に年収が高くなるほど年金受給額は増えますが、実はそれには上限があり、月収62万円を超えると年金受給額は年収に比例して増えるわけではありません。

 

要するに、現役時代に十分な収入があったとしても、年金だけで老後の生活をまかなっていくことはもはや難しいのです。

 

※本記事では、わかりやすさを重視し、簡易的な計算にて算出しています。

本連載は、2016年12月27日刊行の書籍『目指せ自立女子! 23歳からの不動産投資術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

目指せ自立女子! 23歳からの不動産投資術

目指せ自立女子! 23歳からの不動産投資術

北野 小百合

幻冬舎メディアコンサルティング

将来に不安を持つ20代女子のための一冊。 ・まだ投資は早いかと思っている ・何からすれば良いかわからない ・投資=難しいと思っている ・お金がたくさん必要だと思っている (お金持ちじゃないとできない) ・将来に対して…

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