信用買い残と売り残の基本的な見方とは
以下に信用買い残と売り残の基本的な見方を記しましたので、参考にしてみてください。また、株価と信用残をチャートで解説してみましたのでこちらも参照ください(図表1~図表3参照)。
●信用買い残
○株価上昇時に買い残が増加→強気で対処(カラ売りは控える)
○買い残が増えたあとに株価が伸び悩む→警戒信号(カラ売りの好機)
○買い残が増加中に株価が下落→弱気で対処(カラ売りの好機)
○株価下落時に買い残が減少→株価は調整期(買い戻すタイミング)
○ピークから買い残が大幅に減少→強気転換(カラ売りは見送り)
●信用売り残
○株価上昇で売り残が増加→強気信号(カラ売りは控える)
○売り残減少後に株価下落→警戒信号(カラ売りの好機)
○売り残急減→調整期(買い戻しのタイミング)
○株価下落で売り残増加→強気転換(逆日歩つくなら逃げ場)
それぞれ、買い残と売り残について記しましたが、あくまでも、取り組みの状態で判断してください。
たとえば、買い残と売り残が両方ともふくらみ、信用倍率が1倍前後で拮抗(きっこう)している場合、相撲で言えば“がっぷり四つ”で組んでいるようなものですが、そうなると上下いずれにも株価が動きにくくなります。
こうした銘柄は、売り残が多い分、逆日歩がつくリスクも大きく、そんななかで動きに乏しくなるとカラ売りする妙味はまったくありません。株価水準を見るだけではなく、“敵”はどうなっているのかを知るうえでも、信用残の統計は必ず見るようにしましょう。
そのほか、信用残の動向を見るうえでのポイントとしては、一般的な6ヵ月の信用期日を考慮しましょう。
たとえば、株価が天井形成して信用買い残がピークをつけたとき、天井から6ヵ月以内にそれらが整理、つまり株価が下落したままなら、投げ売りが出て株価が上がりにくくなることが想定できます。反対に6ヵ月を経過すると、信用買い残の整理が完了しているため、需給面ではスッキリした状態。上がりやすくなると読むことができます。
さらに、カラ売りについては、現渡しがあることを忘れてはなりません。
決算期末などの前に信用売り残が急激にふくらむことがありますが、そうした場合、純粋なつなぎ売りということが少なくありません。この時期に限らず、株価が上がってもいない、あるいは商いがそれほどできていないのに売り残が急減した場合、機関投資家や一般企業がつなぎ売りをしていたと見て間違いないでしょう。
なお、個別銘柄の信用残の統計は、東証が毎週水曜日(月~水に休日が入る場合、その日数分、後日にずれる)の大引け後に、その前週の分を公表します。
ただし、信用取引が過熱して取引所から保証金率の引き上げ(場合によっては、カラ売り禁止といった措置も出される)など規制がかかった銘柄は、毎日大引け後に前日のデータが公表(こうした銘柄を日々公表銘柄と呼ぶ)されます。いずれも東京証券取引所のホームページで発表された数値を毎回確認してください。
一方、株を証券会社などに貸す日証金(日本証券金融)が貸借取引銘柄の状況について示す「日証金残高」は、毎日公表されます。東証の数値は週1回であるのに対して毎日なので、乱高下するなど急な動きをする銘柄については、こちらをマメにチェックしたほうがいいでしょう。
日証金では貸借取引残高とともに品貸料、つまり逆日歩も併せて毎日公表しています。いずれも日証金のホームページで見ることが可能です。エクセルにダウンロードもできるので、カラ売りした、あるいは、これからしようと思っている銘柄について状況を把握しておきたいものです。
雨宮京子
雨宮総研代表
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