(※写真はイメージです/PIXTA)

日経平均株価の上値が重い展開が続いている。日本では新型コロナウイルスの感染対策で東京都に4回目の「緊急事態宣言」が出され、東京五輪は首都圏4都県は無観客の方針が固まった。今後、株価はどう動いていくのか。「株のお姉さん」として親しまれる雨宮京子氏が株価が下落相場でもあなたの資産を守り、逆に増やすという「株の売り方」の極意を明らかにします。本連載は雨宮京子著『世界一わかりやすい株の売り方』(フォレスト出版)より抜粋し、再編集したものです。

過熱した銘柄はカラ売りのチャンス

◆相場が過熱、でも、まだ上がりそう

 

保有している銘柄が思わぬところで急騰。それが塩漬け株で、買い値まで戻ったとすれば、これほどうれしく、またホッとひと息つくことはないでしょう。

 

このときに、欲張らないことが重要ですが、何かをきっかけに急騰した場合は、業績などのファンダメンタルズはもちろん、何しろ人気が過熱しているのでチャート理論も通用しません。テクニカル的には「行き過ぎ」と言われ、「理外の理」といった状況になるのです。

 

業績もチャートも当てにならない──こうしたときは、何をよりどころにして「売り場」を判断すればいいのでしょうか?

 

新聞やネットの情報ベンダーの記事を読むと、急騰した銘柄について書いてあるのは「商いを伴って上昇」のひと言。そうです。上昇する場合、あるいは下落する場合、ポイントになるのは「商い」「出来高」や「売買代金」を見ればわかるのです。

 

「相場が過熱」という表現も、値上がり幅のことだけを指すわけではありません。

 

大事なのは、商いを伴っているかどうか。薄商いの中を急騰することも少なくないですが、そうした場合、注文が薄いのでストンと値を消す場合が多いのです。

 

では、そういうときに売ればいい──そう思っても、買いが入らないと売れないわけですから思うように売れません。つまり、自分が注文を出すことを考えても、商いの多い少ないは重要なポイントとなると言っていいのです。相場が過熱というのは、人気が集中して商いを伴っていることを指します。

 

いったん、過熱すると、その高値圏で商いがふくらむ、つまり買いがたくさん入るため、下がったあとには損を抱えた投資家が高値に残されることになります。まさに、はしごをはずされた状態になると言っていいでしょう。そうした銘柄は、いったん下がると、ヤレヤレの売りが出てくるために、戻るのは容易ではありません。

 

つまり、過熱した銘柄はカラ売りのチャンス、または、塩漬け株など保有している銘柄については、逃げ場になるのです。

 

さて、本題に戻りますと、人気が過熱した銘柄はどこかで潮目がきます。そこをうまく見極めることができれば、売りで失敗することはありません。その目安になるのが商いのふくらみ具合です。

 

上昇している最中に、商いがふくらんでいる(過去5日間、25日間など出来高や売買代金の平均値で比較してみる)場合、まず、下げに転じることはありません。そうしたときは売り場ではないのです。

 

ところが、上がっているのにもかかわらず、商いが細ってきた──これは買いエネルギーが弱まってきた証拠で、そうなるとやがて株価の伸びが止まり、下げに転じることが大半。つまり、商いが細ってきたと明らかに感じられるようになってきたら、そのときは売り場になります。

 

その判断は、出来高や売買代金の移動平均値で見れば一目瞭然なので、これらを活用してタイミングを探るようにしましょう。

 

「売り時」は、プロの投資家でも難しいと口々に言っていますが、値動きよりも商いをじっくり観察すれば、見通しを大きくはずすことはありません。

 

できれば、「買い」であれば一番高いところで売って儲けたい。「売り」であれば、一番安いところで買い戻して、儲けたい──。

 

人間は欲の皮の突っ張った生き物なので仕方ありませんが、冷静に対処したいもの。つなぎ売りをうまく活用できるかどうかは、欲との戦いになるかもしれませんね。

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世界一わかりやすい株の売り方

世界一わかりやすい株の売り方

雨宮 京子

フォレスト出版

「株の売り方」について解説した本です。 普通、株式投資というと「株を買う」 、値上がった株を売って儲ける、または配当や株主優待を得るというものですが、本書は「株を売って儲ける」ということに重点を置いています。 …

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