動向をマークしておきたいデータはどれ?
カラ売りするときだけに限りませんが、株を売買する際には様々なデータ、統計をチェックして判断することが大切なのは言うまでもないでしょう。なかでも、需給動向を見るうえで、個々の銘柄についてその動向を把握しておきたいのが「信用残の動向」です。
信用残とは、信用取引の建玉がどれくらいあるかを示すデータ。簡単に言えば、信用取引で反対売買されていない取引が銘柄ごとに売りと買い、どれだけ残っているかが示されます。信用で買った玉は、いずれ決済されるときに売られる一方、カラ売りして建てた玉は、将来、買い戻されるわけです。
つまり、買い残はその分だけ、将来、確実に売りが出てくるので、それが多ければ多いほど、その銘柄は売りに圧迫されやすく、株価は上がりにくいと見ることができます。反対に、売り残が多い銘柄は、買い戻し需要があるため、将来の株価上昇が期待できることになるわけです。
通常は、売りと買いがどれくらいずつあるか見て判断しますが、当然のことながら、売りが買いを多く上回る銘柄は将来的な値上がりが期待でき、買いが売りを多く上回る銘柄は株価が重くなるのは言うまでもありません。
この売りと買いの建玉がどれだけ食い合っているかを「取り組み」と言って、売りに対して買いが何倍あるかが注目されています。これを「信用倍率」と言い、たとえば、売り残が10万株、買い残が20万株ある銘柄の信用倍率は2倍。信用倍率が何倍にもなると、その分、将来の売りが多いと想定できるため、短期的な買いの対象としては向きません。逆に、将来の売り要因が大きいのですから、カラ売りの対象には十分なりうると見ることが可能です。
通常、信用倍率が1倍台の銘柄を「取り組みがいい」「好取り組み」と表現し、さらに、1倍以下、売りが買いを上回る銘柄は、買い仕掛けの対象として狙われやすいので、そうした銘柄はカラ売りするのを避けたほうが無難です。
また、1倍を割り込むような銘柄は、「株不足状態」などと表現されます。逆日歩が付きやすいのもこの状態のときです。
こうした銘柄は、逆日歩のリスクがあるだけではなく、下がったら利益確定のために買い戻しが入る可能性が高く、そうした意味でもカラ売りの対象として狙いにくくなるので、個々の銘柄について信用残の動向は必ずチェックする習慣をつけておきましょう。