権利日を含めて3営業日前までに買うこと必要
■「権利落ち日」に注目
株主優待に関するカラ売りの方法は、単に優待を狙うのみならず、「優待+値下がり」と両方を狙うほかに、優待狙いの思惑に目をつけて「値下がり」のみを狙うなど、いろいろなバリエーションがあります。
これらに共通するのは、いずれも短期決戦が基本であること。まずは、具体的なテクニックを考える前に、短期売りを活用した「つなぎ売り」について考えてみましょう。ここでは、2つある制度のうち、一般信用取引を利用します。
一般信用短期売りは、株主優待を獲得する手法である「つなぎ売り」をする際に有効な売買方法です。たとえば、SBI証券では、従来の5営業日から15営業日へと延長されたことにより、どこよりも早く「つなぎ売り」ができるようになりました。
そもそも短期売りとは、返済期限が15営業日で、一般信用取引の新規売りができるサービスです。これを活用すれば、優待狙いで最も注意しなければならない権利落ち日の前後、数日で効率良く取引することができます。
さて、ここでもう一度、権利落ち日についておさらいしてみましょう。
まず「権利確定日」ですが、これは企業が決算の締めにする日と同じで、たいていは月末です。しかし、企業によっては、締めの日を15日や20日に定めているケースがあるので、それぞれの確定日から逆算して注文を出さないと、優待の権利を受けることができません。狙った会社について、各社のホームページなどで念のため「権利確定日」を確認しましょう。
ちなみに、確定日に株主になっていると、配当金や株主優待をゲットするのみならず、株主名簿に記載され、株主総会にも出席することができるのです。株を買ったら株主──それは事実なのですが、制度上では確定日に保有した人こそ、真の株主であると言っていいでしょう。
繰り返しになりますが、権利確定日を含めて3営業日前までに買っておかないと配当金や株主優待はもらえません。ここは最も重要な点なので、しつこいくらいに記しておきます。
権利落ち日には、見た目の株価は下がった格好になりますが、配当金や株主優待などには影響ありません。
また、よくあるケースですが、権利落ち日以降は売る人が多くなる傾向がありますので、それらの売り注文によって株価が下落しやすくなります。そのため、権利落ち日前に換金売りをしようと思った場合において、「つなぎ売り」は有効な方法となります。
もっとも、株主優待の権利をゲットしても、あの株主は優待券が多いのに私は1枚だけと、株主によって差別があるように見えるのはよくある話。最近では、長く株主になってもらうために、企業側も長期保有すると特典がつく、あるいは厚めの優待(一見さんのような株主と差をつける)をするところも少なくありません。