短期運用のつもりが…なかなか手放せない「塩漬け株」
塩漬け株はいいことがありません。多くの場合、人気があるときに短期間で儲けようとして買った銘柄であるため、ひとたび人気が離散すると簡単には戻らないものです。
これまで記してきた「天井三日、底値百日」の相場格言を思い出してください。そして、「いつかは戻る」「せめて買い値に戻ったら」と考えているのは、あなただけではないということです。
こうした戻りを待っている投資家が多い状態を株式市場では、「上値のシコリ」と言います。上昇すると戻り売りが待ち構え、動きが鈍ると予想される銘柄を誰が好き好んで買うのでしょう。
一方、塩漬け株は、投資に向ける資金を固定化します。言葉は悪いですが〝死に金〟にしてしまいます。
たとえば、1000万円の運用資金を持っていて、そのうち半分が塩漬け株で持ったままだとどうなるのでしょう。事実上、残りの500万円だけで運用しなければならず、かなり非効率になってしまうのは言うまでもありません。
投資家の方と話していて、よく耳にするのが「短期運用のつもりでいたけど、下がってしまった。でも、長い目で見ると、この株は成長性がある。長期投資に方針転換する」といった“言い訳”です。
最初から、長期投資の目的で買ったなら死に金にはなりません。でも、そもそも短期運用中心で運用しているのではなかったでしょうか。
本来なら、読みがはずれたと気がついたときにロスカットすべきなのですが、ズルズルと株を持ち続け、株価が半値まで下がったとしたら─もう手遅れで、そこまでになると損を確定させたくないとなる気持ちは良くわかります。
では、このまま持ち続けるとしてどうすればいいのか?
そこで登場するのが、「塩漬け株の有効活用」なのです。
「前の高値」こそ塩漬け株の売り場
たとえば、急に人気が出て塩漬け株が買い値、あるいは買い値の近くまで戻ったとしましょう。先に記した通り、買ったときは人気があったわけですから、その近辺では戻り売りが大量に出ることが予想されています。
いくつか銘柄のチャートを見てみると、たいてい前の高値で株価が反落する、勢いがある株でもいったんは下げる、そんなパターンが多いことに気づくでしょう。
そうなのです、前の高値というのは、売り場であることが多いのです。
その後の動きがどうなるかは、神様にしかわかりません。反落して相場が終わるか、売り物をこなして上昇するか、それとも、いったんは反落しながらもう一度上昇に転じるか、迷うところですが、ここでカラ売りをするのです。
反落すれば、買い戻して利益を確定、上昇したときは現渡しをすればカラ売りした場合の損失を回避できます。
たとえば、カラ売りしたあとに、配当金や株主優待が確定した場合も、現物株は持ったままなので、いずれも受け取ることができます。こうした権利が確定する直前に上昇局面が訪れた場合(実際に配当取り狙いで期末前は上がりやすい)の有効な活用法になるでしょう(図表1参照)。
これらは投資法の一例にすぎませんが、塩漬け株は信用取引の買いを行うときにも役立ちます。現金の代わりに担保(銘柄によって掛け目が違ってきます。70%だったら、塩漬け株の時価の70%分が代用担保として認められます)になるので、活用を検討してみてもいいと思います。
運用は効率的に行うことが重要です。そのためにも、非効率だった塩漬け株を活用してみましょう。