高齢者と暮らすことは冷や汗との連続でもある
妖怪の友達曰く。夕方お宅に伺ったが真っ暗だった。夜8時になって再び、家を見に行ったが真っ暗だった。今日はどこかに行っていると聞いていないので心配になったそうだ。
そして9時に行っても真っ暗。電話は話し中になっている。もしかして、中で倒れているのかもしれないと思い、娘のわたしに電話したと言う。こんなに妖怪のことを気にかけてくれている人が近所にいてなんとありがたいことか。
ジンギスカンの味も忘れてみんなで心配し、自宅に電話をかけ続ける。そして、ついに妖怪とつながった。
「あら、心配かけてごめんなさい。今日は、ほら、前から言ってたと思うけど、歌舞伎を見に行く日だったのよ」とケロリ。この時間に外にいる90代をわたしはあまり見たことがないので、いくらなんでも年を考え、遅い帰宅はやめた方がいいと、ノドまで出たが、言うのはやめた。
話し中だったのは、受話器を正しく置かなかったためだった。まあ、無事でよかったが、周りの人は冷や汗をかかされた。
92歳と暮らすというのは、こういうことの連続だ。
妖怪のやさしい息子は、「携帯電話を持たせた方がいいんじゃない?」と言うが、以前持たせたところ、使い慣れてないのか、使いたくないのか、携帯を持参しないで出かけるので、やめた。
人は自分の流儀でやればいいのだ。頭がしっかりしている妖怪は、携帯電話の操作は苦手だが、その代わりに、駅の公衆電話の場所は、きちんと把握しているのだから恐れ入る。
池袋駅はこことここ。銀座はここ。地下鉄のときはここ。だから、待ち合わせの時間が遅れるときは、相手の携帯に公衆電話から電話すればいいので、まったく困らないという。まさに、恐るべき妖怪だ。
松原 惇子
作家
NPO法人SSS(スリーエス)ネットワーク 代表理事
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