92歳母が「失踪」!? 夜遅い時間にようやく電話がつながると…

「家に帰ったとき」あることに気づいた。50年ぶりにともに暮らすことになった母親が、どうも妖怪じみて見える。92歳にしては元気すぎるのだ。日本の高齢化は進み、高齢者と後期高齢者という家族構成が珍しくなくなってきた。老いと死、そして生きることを考えていきます。本連載は松原惇子著は『母の老い方観察記録』(海竜社)を抜粋し、再編集したものです。

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92歳だから何があってもおかしくない。ついに葬式か

久々に弟と弟のガールフレンドと3人で会うことになり、池袋の「ひつじや」に、ジンギスカンを食べに行った。

 

昔は臭みがあって嫌いだった羊の肉だが、年とともに癖のあるものが好きになり、今ではジンギスカンは大好物だ。焼肉もおいしいが、羊肉は牛肉より胃にもたれず、キャベツと共に沢山食べられるのが気に入っている。特に仲良しと食べるジンギスカンは最高だ。

 

わたしたちは3人とも社会派なので、マスコミ報道がなされていない政治の話でいつも盛り上がる。映画や旅行の話も楽しいが、なんていったって政治の話が一番だ。

 

ビールに酎ハイをガンガン飲んで、羊の肉をタレにつけて食べる最高のひととき。シメのコーヒーを飲むためにモリヤコーヒーに入ると、携帯に何度も母の友達から着信があることに気づく。

 

母の友達から電話があることは、ほとんどないので、嫌な予感がした。時計をみると夜9時をまわっている。

 

「ちょっと電話してくるわ。近所で母が一番親しくしているお友達から、何度も着信があるのよ。何かあったのかもしれないわね」

 

わたしが外に出ようとすると、冷静な弟は言った。

 

「お母さんはいつも出歩いているから、一番可能性があるのは、駅の階段での転倒だね」

 

電話が通じない

 

ところが、着信番号に電話してもお友達は出ない。どういうこと? 今度は妖怪の家に電話してみると、話し中になっている。30分経ち、かけ直しても話し中。この時間に長電話しているとも考えにくい。やっぱり何かあったのか? 妖怪が家で倒れたのか? それとも出かけ先で事故とか? 92歳だもの何があってもおかしくない。ついに葬式か。

 

さっきまでの楽しいお酒は消え、現実的になるわたしたち。30分ほど電話をしまくっていると、やっとお友達とつながった。

 

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作家
NPO法人SSS(スリーエス)ネットワーク代表理事

1947年、埼玉県生まれ。昭和女子大学卒業後、ニューヨーク市立クイーンズカレッジ大学院にてカウンセリングを専攻し修士課程修了。39歳の時『女が家を買うとき』(文藝春秋)で作家デビュー。3作目の『クロワッサン症候群』はベストセラーになる。
「ひとりの生き方」をテーマに執筆・講演活動を行っており、1998年に、おひとりさまの「終活」を応援する団体、NPO法人SSS(スリーエス)ネットワークを立ち上げる。
著書に『長生き地獄』『老後ひとりぼっち』(SBクリエイティブ)、『人生後半を楽しむシンプル生活のススメ 人生はこれからが本番よ!』『70歳、だから何なの』(海竜社)、ほか多数。

著者紹介

連載元気で長生きするヒント「うちの母はスーパー老人」

母の老い方観察記録

母の老い方観察記録

松原 惇子

海竜社

『女が家を買うとき』(文藝春秋)で世に出た著者が、「家に帰ったとき」あることに気づいた。50年ぶりにともに暮らすことになった母が、どうも妖怪じみて見える。92歳にしては元気すぎるのだ。 おしゃれ大好き、お出かけ大好…

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