「つなぎ売り」と「カラ売り」何が違うの?
カラ売りを行う際に、値ザヤを稼ぐ方法のほかで大切なテクニックであるのが「つなぎ売り」です。
つなぎ売りは、保有している銘柄が「下がりそう」と思った場合に、手もとにある現物を売らないで、信用取引のカラ売りを利用して値下がりのリスクを回避しようとする方法。保有している株の値下がりに備えて行うため、保険の役割を果たしていると言えます。下げに対してヘッジするということで「ヘッジ売り」とも言われます。
カラ売りをしたあとに、株価が予想通り下落するとどうなるでしょう。
その場合は、買い戻すことによって、その差額が利益になります。カラ売りした時点で利益が出ていた場合、仮にそこでカラ売りをせずに現物を持ち続けていると評価益が消えてしまうわけですが、その分が手許に利益として残るだけではなく、そのまま現物を持ち続けていれば、その後も上昇で再び儲けるチャンスも生まれます。
このように、つなぎ売りは現物の値下がりによる評価損をカバーできるテクニックですが、反対に読みがはずれて株価が値上がりしてしまった場合には、保有している現物株を引き渡すことによって損失の発生を防ぐことができます(現渡し)。つなぎ売りそのものは、リスクが小さい取引と見ることができます。
一方、つなぎ売りは、株主優待を株価下落による損失リスクを抑えて受け取る方法として活用している投資家が少なくありません。
つなぎ売りはリスクが小さい取引と書きましたが、ゼロではありません。たしかに、保有している現物株と同じ銘柄を同じ数だけ売るわけですから、反対に上昇しても現渡しをすれば損は出ません。しかし、売買委託手数料などのコスト負担があるほか、株主優待の人気が高い銘柄にありがちな高額の逆日歩が発生する可能性もあります。逆日歩には常に注意を払っておきましょう。
なお、現物株に配当が支払われる場合、つなぎ売りをしている場合は、同じ額の「配当落調整金」を支払う必要があるので、配当金が得になるということはありません。