銘柄が限られ、6ヵ月の返済期限がある「制度信用」
株式市場では、円滑に取引を行うために、法律で定めたものや証券業界の自主ルールなどによっていろいろな決まりが定められています。
以前に比べて緩和されたものの、逆に厳しくなったものなど様々ですが、信用取引は利用する投資家が持っている資金以上の取引を行うため、読みがはずれた場合、投資家はもちろん、注文を取り次ぐ証券会社が多大な損害を被る恐れもあり、それを防ぐためにルールが厳格に運用されてきました。
まず、その制度について見てみると、信用取引には「制度信用」と「一般信用」の2種類があります。
制度信用とは、「証券取引所が公表している制度信用銘柄選定基準を満たした銘柄のみを対象として行われる信用取引」のこと。簡単に言うと、証券取引所が認定している銘柄しか信用取引を行うことができないことになります。一般的に、証券会社でまかなえない株を証券金融会社から手当てする形となります。
制度信用取引は、返済期限が6ヵ月以内と定められており、これをまたぐことはできません。最終期限を「期日」と言い、それまでに差金決済をするか、買いの場合は、「現引き(現物株を引き取る)」、カラ売りの場合は「現渡し」をしなければなりません。
「買った値段より下がってしまい、今、決済すると損してしまう」「もう少しでカラ売りした株価より下がりそうなのに」など損していても、期日がきたら強制的に清算することになります。制度信用を利用した場合、6ヵ月後の期日を常に意識しないとなりません。
金利の上乗せ返済が必要だが…期限のない「一般信用」
もう1つの一般信用とは、「投資家と証券会社の間で結ぶ契約」で行います。投資家は証券会社から借りた資金に金利を上乗せして返済する必要があるので、銀行に借金して返済するのと同じようなものと言えます。
また、投資家は証券会社との契約で行うため、制度信用とは異なり、金利や返済の期限などは証券会社側で自由に決められるのが特徴で、SBI証券では無期限で取引ができます。
金利は同等になってきましたが、多少の変動があります(図表1参照)。
蛇足的に記すと、より長い期間で儲けようとして、あるいは読みがはずれたときの挽回の期間を作ることを考慮して、6ヵ月の期限がある制度信用を嫌い、一般信用を無期限で行おうとする投資家もいます。
しかし、注意しなければなりません。そもそも、信用取引は、売りでも買いでも、短期間で効率的に儲けるのが鉄則だからです。現物株の塩漬けとは違い、売り買いのいずれも、反対に動いたまま放置しておけば、とんでもない損が発生しないとも限らないからです。
信用取引は買いや純粋なカラ売りで行う場合、利益、損失にかかわらず、短期で決済するのがお勧めです。無期限で行っても読みがはずれたとき、早めのロスカットを心掛け、ズルズル引き延ばして、損を広げないようにしましょう。