「売り」が加われば下落相場でも儲けるチャンス
銘柄を買うだけの投資方法は、ある意味、株式市場に対して“一方通行”で臨んでいる格好となりますが、投資の手法として「カラ売り」をマスターすれば、バリエーションが増えて、どんな相場に対しても儲けるチャンスが訪れることになります。
たとえば、相場格言にある「売り、買い、休む」では、「買い」のチャンスは上昇相場のみ。これに「売り」が加われば、下落相場でもチャンスが訪れるのは、これまでも書いた通りです。
「休む」については、売り買いいずれも手が出せないので、文字通り休まざるを得ません。たとえば、上げと下げ、いずれの材料にも乏(とぼ)しく、株価がこう着状態となる、いわゆる「ベタ凪(なぎ)相場」のときがそれにあたります。
そんなときは、無理して仕掛ける必要はありません。相場が上下いずれに振れるか、待てば良いのです。
もっとも、個別銘柄に関して言えば、すべての銘柄が凪の状態というのは考えにくいので、短期の値幅取りを専門に行っている投資家にとって、「休む」はないのかもしれませんが…。
投資手法が増えたところで、いろいろな作戦が取れるようになります。
上昇相場というのは、全面高になる場面はそう多くありません。たいていは、「循環物色」と言って、場面ごとに相場の主役を交代させつつ、いわば個別の銘柄、業種、「何々関連」といったグループが代わりながら上昇します。個々に二進一退を繰り返しながら、指数が上がっていくものなのです。
つまり、今週は内需関連株が買われ、輸出関連株は調整、次の週は反対に輸出関連株が反発し、内需関連株は反落といった感じで、物色面で同じ動きにはなりません。
前者の場合では、「内需関連株買い、輸出関連株売り」(内需株を現物、あるいは信用取引で買って、輸出株を「カラ売り」する)といった投資戦略が有効と言えます。縦横無尽に動くことでチャンスも2倍、3倍にふくらみます。
一方、保有している現物株についても、投資のバリエーションが多くなります。たとえば、次のようなケース─長く持っていて、そこそこ利益が出ている株が突如急騰、ところが、株主優待制度がとても魅力的なうえ、中長期的に利益成長が見込めるために手放すのが惜しい─そんな場合に、いったん、急騰した動きに合わせてカラ売りしてみるのは、とても効果的になります。
それまでの動きがおとなしかった銘柄は急騰した場合、人気がいったん去ると、長い調整を迎えるケースが大半であるため、ほぼ売り場と言えるのですが、魅力に感じる銘柄であると、売るのが惜しくなり、下がってから「あ~あ、売れば良かった」と後悔する投資家が多いことでしょう。
それをカラ売りして、人気が去って下落した場面で買い戻せば、利益が確保できるうえに現物は保有したままなので、株主優待制度を変わらず受けつつ、中長期的な利益成長を待つこともできます。運悪く、急騰後も上げ続けて担がれてしまっても、保有株を「現渡し(反対売買のとき、差金決済ではなく、持っている現物株で決済する)」してカラ売りを手仕舞えば、損をすることはありません。
雨宮京子
雨宮総研 代表
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