日経平均株価の上値が重い展開が続いている。高値を更新した2月以降、2万9000円から3万円を中心に推移している。関西圏を中心にコロナの感染拡大が続いています。緊急事態宣言の再々発令も懸念されています。株価はどう動くのか。「株のお姉さん」として親しまれる雨宮京子氏が株価が下落相場でもあなたの資産を守り、逆に増やすという「株の売り方」の極意を明らかにします。本連載は雨宮京子著『世界一わかりやすい株の売り方』(フォレスト出版)より抜粋し、再編集したものです。

スピードが速い下げ相場は、効率的に利益を上げやすい

「人生、山あり谷あり」と言いますが、相場も同じで、山あり谷ありです。山を形づくるとき、宝くじが当たって突如、生活が一変するということはありながらも、多くの人は地位を高めたり、ビジネスでお金を稼いだりするのには、時間が掛かるのがほとんどでしょう。株価も同じで、上昇して天井を形成するまでには時間を要するものです。

 

もちろん、宝くじが当たるような、突如、急騰する銘柄もありますが、多くの場合、上昇する過程で大きく株価を上げるのは、天井を打つ最終局面として考えられます。そんなことから、最後にひと伸びする上昇の最終局面のことを「仕上げ」と言ったりします。

 

反対に、下落するときは、上昇する時に比べて、“あっと言う間”というのが少なくありません。この点は、人や企業が悪事を働いて信用を一瞬で失ってしまうのと似ているかもしれませんね。

 

相場格言「上げはバラバラ、下げは一緒」が意味することとは。(※写真はイメージです/PIXTA)
相場格言「上げはバラバラ、下げは一緒」が意味することとは。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

下げ局面、特にあとで天井を打ったとわかるときのような下げでは、文字通り「坂道を転げ落ちる」ようになってしまいます。ウォール街の格言に「落ちてくるナイフに近づくな」というのがあるのですが、ストンと値を下げるような銘柄を「安くなったから買おう」と思って近づくと怪我をしてしまう─この格言は、安易に下げる株を買うなという戒(いまし)めと言えるでしょう。

 

逆に言えば、「落ちてくるナイフ」は、「カラ売り」のチャンスです。上げ相場に比べて、下げ相場のスピードのほうが速いので、それだけ効率的に利益を上げやすいと見ていいのかもしれません。

 

こうした下げ相場、株を持っているだけなら気が気ではなくなります。しかし、売りで入ることをいとわないのであれば、これほどの好機はないでしょう。実は、下げ相場ほど、短期で値幅を取りにいくチャンスと言えるのです。

 

もう1つ、別の相場格言から、下げ相場がなぜチャンスかという理由があります。その格言は「上げはバラバラ、下げは一緒」というものです。

 

先ほど、相場全体の上昇局面は循環物色で形成されると説明しましたが、代わる代わる主役が変化する様は、文字通り「上げはバラバラ」ということになるでしょう。ところが、下げ相場においては、過去の相場で何度か襲ったショック安を見るまでもなく、全体的に下げることが多い、つまり、現象面で「下げは一緒」となるのです。

 

「上げはバラバラ」というのであれば、「どの銘柄が上がる」と買う銘柄の候補を絞ったあとに「どれが一番上がる」と2段階のスクリーニングが必要ですが、「下げは一緒」というのであれば、全体的に下げるのですから、スクリーニングは「それが一番下がる」と一段階の作業のみ。

 

もちろん、すべての相場がこれらに当てはまるわけではありません。しかし、過去の相場を振り返っていただければ、下げ相場のほうが手掛けやすいということに気がつくでしょう。

 

右肩上がりの相場が見込みにくい現状では、これから「売り」で儲けるチャンスが何度も到来するはずです。

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本連載は、投資を促したり、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、フォレスト出版、幻冬舎グループは、本連載の情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

世界一わかりやすい株の売り方

世界一わかりやすい株の売り方

雨宮 京子

フォレスト出版

「株の売り方」について解説した本です。 普通、株式投資というと「株を買う」 、値上がった株を売って儲ける、または配当や株主優待を得るというものですが、本書は「株を売って儲ける」ということに重点を置いています。 …

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