時代とともに変動する給料
こうした新しい生活を支えるであろう経済基盤、つまり給与収入に将来変化はないのか、という点を考えなくてはいけません。
国民全体の平均給与で見てみると、この20年間で随分金額は落ち込みました。国税庁「民間給与実態統計調査」によれば、平均給与は1995年で457万円です。それが2015年には420万円まで下がってしまいました(編集部注、2020年は436万円)。将来も現在と同じように安定的に給与をもらうことができるという保証は、必ずしもないと言っていいでしょう。
マイホームを購入することによって新しい生活が始まると先ほど説明しましたが、それを航海にたとえれば、給与が右肩上りの高度経済成長期には順風満帆の旅だったのでしょう。だから、マイホームを手に入れれば、それで安心できたのです。
ところが現在は違います。マイホームを手に入れてから、厳しい経済環境という荒波の中に漕ぎ出すことになります。だからこそなおさら、マイホームを手に入れて終わり、という認識ではいけないのです。マイホームを購入した後も新しい生活を安心して営めるように、資金計画を立てることが欠かせません。
そこで意識すべきは、「持ち家リスク」です。今の時代、マイホームを持つことには一定のリスクが伴うという発想です。それはまさに、新しい生活の「新しさ」として説明した点です。現金資金が減った中で、家計には将来の変動リスクをはらむローン返済を抱えている。
しかも高度経済成長期のようには収入の伸びに過大な期待は掛けられない。そうした状況が家計の弾力性を奪い、それまでになかった恒常的な支出が生じれば、その負担に耐えられなくなるという状況です。
30〜40歳代にとっての「持ち家リスク」とは?
現役世代の中でもマイホーム志向が強い30〜40歳代でいえば、恒常的な支出の代表として教育費が挙げられます。
文部科学省の試算によれば、子どもに掛かる教育費は、幼稚園から高校まで公立で大学は国立というケースで約1000万円、幼稚園から大学まで全て私立というケースで約2300万円と言います。マイホーム1軒分とは言わないまでも、1000万円単位の多額のお金が掛かるわけです。
問題は、そのお金の掛かり方です。年間の教育費は一般的には、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、という順で上がっていきます。したがって30代前半で子どもを持つと、50代前後の時期に教育費支出のピークを迎えます。
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