
産後の夫婦関係はその先何十年を左右する。日本では「産後うつ」になる女性が30%を超えるが、パートナーのサポートが得られなかったことも大きな原因だろう。東野産婦人科院長の東野純彦氏が、夫婦で仲良く過ごすための男性からの働きかけのヒントを伝授する。
「今日はこのまま外で食べて帰る?」の真意は
【大吾と可南子の事例】
山本さん夫妻には2歳になる子どもがいます。ある週末、買い物に出かけた日のことです。そのまま食材を買って帰宅し、ごはんを食べる予定でしたが、妻の可奈子さんは「今日はこのまま外で食べて帰る?」と夫の大吾さんに提案しました。
大吾さんは、2歳の子どもと一緒だとレストランに入ってもゆっくりできないので「いや、今日は家で食べよう」と返事をします。

可奈子さんはどこか浮かない表情をしていましたが、そのままスーパーに寄ることに。可奈子さんは惣菜コーナーを見ています。
「あれ? なんか出来合いのもの買って帰る? それなら近くの惣菜店に寄ればよかったね。俺、あそこのから揚げ好きなんだよなぁ。あ~なんか、から揚げ食べたくなってきた」
「……」
可奈子さんは何も言わずに精肉コーナーへとカートを押していきました。今度は鶏肉を選んでいます。
「お! 今日はから揚げ? ラッキー!」
そのまま可奈子さんは無言で買い物を続け、レジへと進みます。大吾さんは「疲れているのかな」と思い、そのままそっとしておくことにしました。
家に帰ると可奈子さんは眠ってしまった子どもを布団に寝かせ、から揚げの準備を始めます。その間も、終始無言です。大吾さんはこのとき、異変に気づくべきでした。実は可奈子さんは「今日は料理をする気力がない」とメッセージを送っていたのです。
「外食をしようか」と提案した裏側には「帰ってごはんを作りたくない」という思いが隠れていたのでした。
それに対して「家で食べようよ」という大吾さんの返事を聞いたときに、可奈子さんの心のなかでは「作るのは私なんだけど!」という不満が渦巻いていたのです。
さらには、できれば惣菜と簡単な料理で済ませたいと考えていた可奈子さんの隣で、大吾さんが「から揚げが食べたい」と言ったことで、疲れている身体にムチを打って料理をする羽目になってしまいました。
カラリと揚がったから揚げを前に、可奈子さんの表情は険しいまま。食卓について、ようやく大吾さんは異変に気がつきました。
「ねえ、なんか怒ってる?」
勇気を出して尋ねます。
「……別に」
冷たく返す可奈子さん。
「じゃあ、なんで何もしゃべらないの?」
山本さん夫妻は、ごはんを食べるときにはテレビを消して、夫婦の会話を大切にしようと二人の間で約束していたのです。
「……」
夫が妻に対して「本当に思っていること」は…
可奈子さんは、すぐに自分が怒っている理由を分かってくれない大吾さんに対して「この人に何を言っても無駄」と諦めモード。こうして、コミュニケーションの遮断が起きてしまうのです。
夫からすると、「助けてほしい」「こうやって手伝ってほしい」と言ってもらえればそうするのに、言ってくれないから分かるはずがありません。
しかし可奈子さんは「外食しよう」と伝え、「惣菜コーナーを見ている」ことで「今日はごはんを作りたくない」というメッセージを発していたつもりなのです。
にもかかわらず「から揚げが食べたい」と言われた。つまり「自分がから揚げを作るしかない」と受け取ったのです。
もちろん大吾さんはそこまで完璧を求めてはいませんでしたが、母親になり、家事に対して責任感を持っている可奈子さんは「自分がやらなきゃ」と思ってしまった。
さらにいえば、妻は夫に、父親として母親と同じレベルの意識改革を期待しています。それなのに、妻の様子や家庭の状況と関係なく「自分がやりたいこと、食べたいもの」をいってしまう夫に対して「協力する気がない」とがっかりしてしまうのです。
このような男女の間によく起きるミスコミュニケーションは、たった一つの方法で解決できます。それはお互いの状況を共有し、「どうしてほしいか」をはっきりと言葉で伝えること。すごくシンプルですが、男女の違いを理解していないと「それが必要である」ことに互いに気づけません。でも、気がつきさえすれば、誰でも実行できます。
もしも妻から「食事を作りたくないときもあるから、そのときは外食しよう」とか「愚痴や弱音を聞いてほしいときがあるから、そんなときは異論を唱えず、ただただ受け止めてほしい」という気持ちが聞けていたら、おそらく夫の反応は違っていたはずでしょう。
しかし、女性がそのように振る舞えないのは、産後、心も身体も疲弊していてそれだけの余裕がないからです。男性に求められているのはその状況を理解し、大変さやつらさを察してあげられるように努めることです。
それでも、男女は違う生き物ですから、完璧に相手のことを察することなど不可能です。
だからこそ夫は、妻に対して「大変なときやつらいときには気がつけるよう最大限努力する。でも、気がついていないときは言葉にして教えてね」と伝えてほしいのです。
気恥ずかしい面があるかもしれませんが、このシンプルなコミュニケーションを意識するだけで、夫婦喧嘩の回数は格段に減るはずです。
東野 純彦
東野産婦人科院長
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