賃貸住宅経営で常に意識しておきたい「出口作戦」と賃貸住宅経営のために金融機関で借入れをする際の留意点について、株式会社ブレーントラスト代表の秋山哲男氏が解説します。

そのマンション「孝行息子」ですか?

アパート・マンション経営のプランニングにおいては、常に意識しておく課題があります。それは最終的な「出口」作戦。万一の売却への備えです。

 

たとえば、株式投資でも損失を抱えた際に、「いつか上がるだろう」とずるずると持ち続けた結果、より傷口を広げてしまう恐れがあります。上がる見込みがないのであれば、早めに決断をし、売ることが肝要です。また、急に現金が必要になり、売却をせざるをえないという事態もありえるでしょう。

 

建物も同じです。長期スパンで収益を生み出し、順調にローンを返却した上で、納税資金も貯められる“孝行息子”に成長してくれれば万々歳ですが、うまくいかないこともありえます。また、相続時に、誰も賃貸アパートを引き継ぐ相続人がいなければ、さっさと売ることがベストな対応になることもありえます。

ほとんどの住宅メーカーは建てたら終わり

しかし、賃貸マンションを建てたがために、土地、建物の評価が下がり、返済資金や納税資金確保に足りず、泣く泣く自身の預金をかき集めなければならない事態も起こり得ます。建物を壊し、更地にて売却すればいいと思っても、入居者が居座り、なかなか売れないケースも多々あります。

 

不動産投資に慣れているプロならば、こうした“出口作戦”を見据えた上で、事業計画や収支プランを立てるのが常識ですが、住宅メーカーが、竣工後、万一売った際に、どの程度の額で売れるかまでシミュレーションしてくれるケースは稀です。

 

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秋山 哲男

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