「会社のお金は自分のもの」贅沢の限りを尽くしたらマルサが…

「会社のお金は自分のもの」贅沢の限りを尽くしたらマルサが…

「せっかく稼いだお金を税金に持っていかれてたまるか!」そんな思いから多くの経営者が節税に励んでいます。しかし、間違った知識で節税してしまうと、脱税になる場合があります。脱税してしまった企業のその後を、元・国税調査官で税理士の辻正夫氏が紹介します。

社会的信用も失墜し、「脱税倒産」に陥るリスク

脱税によるペナルティは金銭面だけではありません。マルサが告発して裁判に入ると、その会社の代表者はほぼ100%有罪判決を受けることになります。多くは執行猶予が付いて実刑は免れますが、それでも代表者本人に「前科」が付くことに代わりはないのです。

 

有罪判決を受けた脱税企業には、次の「3つの社会的制裁」が待ち受けています。

 

① 金融機関の信用低下

 

脱税事件が発生すると、その判決の情報は前述のように新聞にも掲載されます。新聞に掲載されれば取引のある金融機関も知ることとなり、代表者は不正に至った経緯の説明を求められるでしょう。その後の対応は脱税の内容や金融機関によって異なりますが、少なくとも新規の融資は受けられないと思ってください。

 

最近の事例では、取得を予定していた不動産の融資を断られたり、都市銀行から当座貸越契約を解約されたりといったペナルティが発生しています。当座貸越契約とは融資限度額までは自由にお金を借りられる手段で、利息さえ支払えば金融機関の決済も資金使途の提示も必要ないため使い勝手が良く、多くの企業が利用しています。

 

この取引の契約を打ち切られるということは、融資先への信用が著しく低下したことを意味します。脱税企業に対する金融機関の厳しい姿勢が表れていると見ていいでしょう。

 

もちろん、脱税で有罪になれば納税資金の融資も受けられません。脱税資金を使い果たしていた場合、自身の資産を売り払って工面するしかなくなります。

 

金融機関からの融資が受けられなければ企業の財務状態は悪化します。借入を利用して運転資金を回しているような状況であればなおさらです。運転資金を確保するためにノンバンクなどの高金利の借金を重ね、さらに体力が消耗するという、悪循環にはまり込むリスクがあります。

 

最悪の場合、借金を返済するために借金を重ね倒産に至る、そんな結末を迎えかねません。

 

② 取引先の信用低下

 

近年、企業各社はコンプライアンス(法令遵守)の取り組みを強化しています。報道によって脱税が明るみに出ると、大手を中心とした取引先企業から取引停止を通告される可能性は決して低くはありません。取引の一社依存度が高い場合、会社存続の危機に陥るリスクも十分考えられます。

 

③ 許認可事業の取引停止

 

建設業許可や産業廃棄物処理業許可、古物商など、法令上の許認可を得なければ営業を開始・継続できない事業は数多く存在します。しかし、脱税によって代表者に前科が付くと、その代表者の名義では許認可の更新ができません。ひどい場合は免許が取り消されてしまうといった可能性もあります。その場合、代表者を交代して組織体制を一新するなどしなければ、許認可事業を継続することは難しいでしょう。

 

このように、脱税に手を染めると金銭的なペナルティを被るだけでなく、「前科者」としてレッテルを貼られ、将来的に事業を維持・継続していくことが難しくなってしまうのです。

 

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税務署が咎めない 「究極の節税」

税務署が咎めない 「究極の節税」

辻 正夫

幻冬舎メディアコンサルティング

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