中国製造業PMIは3ヵ月下落だが

中国のPMIに限らず中国の経済指標は、年ごとに時期が異なる春節休暇の影響の解釈を柔軟に行う必要があります。毎月公表される小売利上げ高や固定資産投資などの場合、1月分と2月分はまとめて3月に公表するという、一見、乱暴にも見える対応を行っていますが、裏を返せばそれほど春節休暇の影響が大きいと言えそうです。今年は特に解釈に慎重さが求められます。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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中国PMI:製造業、非製造業共に、目安の50を上回るも前月の水準から低下

中国国家統計局が2021年2月28日に発表した2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.6と3ヵ月連続で前月比で低下し、市場予想(51.0)、1月(51.3)を下回りました(図表1参照)。サービス業等の活動を反映する非製造業PMIは2月が51.4と、市場予想(52.0)、前月(52.4)を下回りました。PMIの景気拡大・縮小の目安は50です。

 

月次、期間:2018年2月~2021年2月、財新PMIは18年3月から 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]中国PMI(製造業、非製造業、財新製造業)の動向 月次、期間:2018年2月~2021年2月、財新PMIは18年3月から
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

2月の財新製造業PMIは50.9と、市場予想(51.4)、前月(51.5)を下回りました。

どこに注目すべきか:中国PMI、新規輸出受注、建設業、全人代

中国のPMIに限らず中国の経済指標は、年ごとに時期が異なる春節休暇の影響の解釈を柔軟に行う必要があります。毎月公表される小売利上げ高や固定資産投資などの場合、1月分と2月分はまとめて3月に公表するという、一見、乱暴にも見える対応を行っていますが、裏を返せばそれほど春節休暇の影響が大きいと言えそうです。今年は特に解釈に慎重さが求められます。

 

まず中国の2月のPMIの結果を簡単に振り返ると政府系の製造業PMIは50.6、中小企業をよりカバーするといわれる財新製造業PMIが50.9と好不調の目安といわれる50をわずかに上回る水準に中国経済は減速しています。

 

政府系製造業PMIで内訳を確認すると、2月の新規輸出受注は48.8と1月の50.2を下回りました。新型コロナウイルスを早期に感染収束させた中国には衛生用品やテレワーク関連製品に対する特需も見らました。足元の中国の輸出は依然好調が維持されると予想され、1~2月の輸出(3月7日公表予定)は前年同期比40%程度の伸びがコンセンサスとなっています。中国の鉄鋼業PMIで新規輸出受注を見ると61.4と1月の55.2から改善しています。

 

輸出項目のうち特需に関連する項目に正常化(特需部分の減少)があるかは今後確認する必要はあります。ただ現時点で貿易全体の腰折れの可能性は低いようです。

 

次に建設業とサービス業などからなる2月の非製造業PMIはやや大幅に減速しました。ただ飲食業などは昨年を上回っています。非製造業PMIの下落要因のひとつが、建設業PMIで1月の60.0から2月は54.7に低下しています。

 

中国政府は足元のコロナ感染再拡大に対し厳格な異動の制限を行いました。報道によると、地方からの出稼ぎ労働者の約7割から8割が春節中も職場のある都市に(補助金つきで)とどまったため飲食業は堅調でした。一方で移動の制限は旅行業には打撃となりました。

 

なお、労働者が職場のある都市にとどまっていたこともあり、春節休暇明けの活動再開はスムーズでした(図表2参照)。この点は、生産活動などへのプラス寄与も考えられます。

 

日次、期間:2020年2月28日~2021年2月27日、7日移動平均 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]中国の主な路線区の地下鉄利用者数の推移 日次、期間:2020年2月28日~2021年2月27日、7日移動平均
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

中国経済はコロナの感染再拡大が抑制されていることもあり、回復傾向ですが、どの程度回復するかを予想するのは難しい局面です。3月5日には国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が開幕予定で、通常であれば当局から今年の成長率目標が発表されます。当局の中国の成長を予想する上で当局の見解を注目していますが、昨年に続き公表されない可能性も想定されます。柔軟に構える必要がありそうです。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国製造業PMIは3ヵ月下落だが』を参照)。

 

(2021年3月1日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

 

 

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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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