米国の長期金利(国債利回り)の動向は、米国国内のみならず、世界の様々な市場に影響を与える傾向があります。株式市場の上昇にブレーキがかかり、昨年の春以降上昇傾向であった新興国通貨も下落しました。今後の注目は変調の兆しを受けて米国金利が落ち着きを取り戻すかですが、米国と海外の金融当局者の見解に違いが見られるのは気がかりです。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

>>>12/10(火)LIVE配信

米国長期金利上昇:米10年国債利回りは節目の一時1.5%を超え、瞬間1.6%台の局面も

利回り上昇(価格は下落)傾向が続いていた米国国債市場は2021年2月25日、大幅に利回りが上昇しました。

 

指標となる米10年国債利回りは節目となる1.5%を超え、一時的に1.6%台に急上昇しました。1年余りで最高の水準に到達しました。ただ、26日の日本時間午前には1.5%を下回る局面もあり、1.5%前後での取引となっています。

どこに注目すべきか:米長期金利上昇、新興国、YCC、上昇は適切

米国の長期金利(国債利回り)の動向は、米国国内のみならず、世界の様々な市場に影響を与える傾向があります。株式市場の上昇にブレーキがかかり、昨年の春以降上昇傾向であった新興国通貨も下落しました(図表1参照)。今後の注目は変調の兆しを受けて米国金利が落ち着きを取り戻すかですが、米国と海外の金融当局者の見解に違いが見られるのは気がかりです。

 

日次、期間:2020年2月25日~2021年2月25日、JPモルガンEMCI指数 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]新興国通貨の動向 日次、期間:2020年2月25日~2021年2月25日、JPモルガンEMCI指数
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

ワクチン接種の進展と財政政策拡大で景気回復の軌道に乗る米国の長期金利が上昇するのは自然なことながら、スピード感は気になります。

 

ドル調達に依存する多くの新興国はワクチン接種が全般に遅れている分、もう少し時間を稼ぎたいところです。

 

新興国だけではなく、資源価格の上昇で景気回復期待が高まるオーストラリア(豪)でも準備が出来ていない様子です。豪中銀は3年国債利回りを管理するイールドカーブコントロール(YCC)を採用していますが(図表2参照)、豪中銀は3年国債を購入し利回り安定に追われています。

 

日次、期間:2020年2月26日~2021年2月26日(日本時間正午) 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]オーストラリア国債(3年、10年)利回りの推移 日次、期間:2020年2月26日~2021年2月26日(日本時間正午)
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

米国国内にも長期金利上昇による変調の兆しが見られます。最高値更新を続けてきた米株式市場も昨日は下落しました。また25日の7年国債入札は不人気で、今後の国債増発が想定される中で国債消化に一抹の不安を覚える入札結果となっています。

 

一方で、金融政策をつかさどる当局者の長期金利上昇に対する見方にバラツキがあります(図表3参照)。

 

出所:ブルームバーグ、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表3]25日の主な金融当局者のコメント抜粋 出所:ブルームバーグ、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

なおピクテの経済チームは米国の1-3月期成長率は前期比年率で6%を超える可能性があるとみているなど、米国経済は堅調で、国を越えた当局の見方に違いがあるのはある意味当然と思われます。ただ、米国債利回りが1.6%を超えた時間を考え合わせると、利回り上昇が適切との発言は長期金利上昇を加速させた可能性があります。一方、欧州中央銀行(ECB)レーン理事や、韓国銀行(中央銀行)総裁のコメントからは金利が上がるのは仕方ないにしてもスピードには不安があるようです。

 

利回り上昇は適切である一方で、米国内はもとより海外からの変調の兆しに対し慎重な配慮も求められそうです。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国の長期金利上昇の影響を見る』を参照)。

 

(2021年2月26日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

日本経済の行方、米国株式市場、新NISA、オルタナティブ投資…
圧倒的知識で各専門家が解説!カメハメハ倶楽部の資産運用セミナー

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【11/19開催】相続税申告後、
約1割の人が「税務調査」を経験?!
調査の実態と“申告漏れ”を
指摘されないためのポイント

 

【11/19開催】スモールビジネスの
オーナー経営者・リモートワーカー・
フリーランス向け「海外移住+海外法人」の
活用でできる「最強の節税術」

 

【11/23開催】ABBA案件の
成功体験から投資戦略も解説
世界の有名アーティスト
「音楽著作権」へのパッション投資とは

 

【11/24開催】事業譲渡「失敗」の法則
―M&A仲介会社に任せてはいけない理由

 

【11/28開催】地主の方必見!
相続税の「払い過ぎ」を
回避する不動産の評価術

 

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧