「人生100年時代」といわれています。22歳から65歳まで現役で働いていた時間よりも、定年後の時間のほうが長いのです。定年後の避けては通れない課題は「お金」「健康」「生きがい」。これが定年後の3大リスクです。この「3大リスク」をうまくクリアできれば、第二の人生をバラ色にすることがきます。本連載は長尾義弘・福岡武彦著『定年の教科書 お金 健康 生きがい』(河出書房新社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

「特別支給の老齢厚生年金」の繰り下げ需給はできない

年金を65歳以前に受け取れるのを知っていますか? しかもこの年金を受け取る手続きを忘れてしまうと、年金が消えてしまうのです。それが「特別支給の老齢厚生年金」です。

 

男性ならば、1961年4月1日以前に生まれた人、女性ならば1966年4月1日以前に生まれた人は、65歳より前に、「特別支給の老齢厚生年金」を受け取ることができます。受給資格は、1年以上、厚生年金に加入したことがある人です。

 

1985年に、年金制度の大きな改革がありました。

 

それまでは、国民年金、厚生年金、共済年金がバラバラの年金制度でしたが、それを一つにまとめて新たな年金制度ができました。

 

国民年金は、もともと加入期間に応じて年金額が決まる定額制度でした。それを厚生年金、共済年金も、1階部分として国民年金を採用して、すべての年金のベースが定額制である基礎年金に統一されたのです。

 

このときに、厚生年金の支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたのです。その移行を段階的にすすめるために設けられた制度が「特別支給の老齢厚生年金」です。

 

 

「特別支給の老齢厚生年金」の手続きをしないのは損!

 

下の表でわかるように、生まれた年によって、支給開始が違ってきます。

 

公的年金は、繰上げ受給や繰下げ受給ができますが、この「特別支給の老齢厚生年金」は、繰下げ受給はできません。

 

老齢年金と同じように「繰下げ受給をすると増える」などと勘違いして手続きをしないと、そのまま消えてしまいます。ですので、必ず請求をしてください。

 

請求をしていない場合には、すぐに手続きをしてください。年金の時効は5年です。

 

年金をさかのぼって請求できるのは5年分まで、それを過ぎてしまった場合は、権利が消滅してしまうので注意してください。

 

「在職老齢年金」で、年金が削られるのは避けられない?

 

「特別支給の老齢厚生年金」があるので、65歳より前に繰上げ受給以外に年金を受け取れる人もいるのですが、残念ながら場合によっては年金が受け取れないかもしれません。

 

「えっ、さっきの話と違うのでは?」と思ってしまうでしょうが、厚生年金に加入しながら働いていると年金がカットされる「在職老齢年金」という制度があるのです。

 

この「在職老齢年金」は、65歳未満と65歳以上では、少し異なります。

 

まず、65歳未満は、給与と年金の月額合計が28万円を超えた場合、年金の一部または全額がカットされます。65歳以上だと、給与と年金の月額合計が47万円を超えた場合、年金の一部または全額がカットされます。

 

これによって、65歳未満の会社員の多くは、せっかくの「特別支給の老齢厚生年金」を満額受け取れないことになっています。

 

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定年の教科書 お金 健康 生きがい

定年の教科書 お金 健康 生きがい

長尾 義弘 福岡 武彦

河出書房新社

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