AIの活用で世界各国で通用する政策を作り上げる可能性
「米台防疫ハッカソン」では、「AIを用いたコロナ対策」というテーマを地域レベルだけでなく、都市レベル、国家レベルまで広げて討議しました。これらのいくつも討議された結果から政策決定者がどれか一つを選べば、有効な防疫対策となり、かつプライバシーも保たれる方式が採用できるでしょう。
ハッカソンで討議を重ねてわかったことは、AIは一つのストーリー(たとえば、AIを活用していかに防疫を実現するか)を可視化するツールになりうるということです。こうしたツールは、私たち個々人、あるいは私たちが所属するグループ、家族や地域が最優先され、自分たちの利益にならなければいけません。誰か一人のために個人のプライバシーが犠牲になるということはあってはならないのです。そして、AIを使うことにより、それらは実現できるのです。
また、このとき議論された内容は、それぞれの意見に対して「参加者がどれだけ肯定的か否定的か(好きか嫌いか)」をAIが識別し、「k平均法」という方法で分析されました。
先に挙げたようにAIのシステムを通じて相互に討議し合ったのは、イギリス、ドイツ、ハンガリー、カナダ、アメリカ、台湾、日本でした。台湾と日本は道徳的に似ているため、日本人がおかしいと思うようなことを台湾人が提案することは少なく、日本もまた台湾側がおかしいと思うような提案をすることは稀です。それは問題を解決しようとするとき、日本と台湾の参加者は似たような価値観を持っているからだと思われます。
先ほど例として挙げたアメリカの提案も、AIのソフトウェアが識別した意見の差(賛成・反対の差)が最大だったので、日本人にとっても受け入れがたいものだったのではないかと思います。
同時に、このAIソフトは、国をまたいだ多くの参加者に共通して高い評価の出たテーマを識別しました。実は、このAIソフトの仕組みは、非常に単純なものです。まず、いかなる提案であっても、それに対して他国の参加者は好き嫌いを表明することができます。
また、たとえば私の提案した内容に対して好き嫌いのスコアをつける前に、他国の参加者は私の提案内容を自分たちで適宜修正して、自分たちの提案とすることが可能となるのです。その彼らの修正した提案に対しても、再び他の参加者から好き嫌いのスコアがつけられます。
このプロセスを何度も繰り返すうちに、AIは「どういった提案が多くの参加者に好まれたか」「参加者はどんな提案が好きか嫌いか」といった内容を整理することができます。その結果、個人の好みによるグループが作られていくのです。
オードリー・タン
台湾デジタル担当政務委員(閣僚)
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