大きな災害が起こったとき、台日双方は支え合う
「共同の経験」で結ばれた日本と台湾
台湾と日本の未来について考えてみたいと思います。
現在の台湾と日本の関係は「共同の経験」によって表現されるかもしれません。以前、日本に行ったとき、大きな台風に遭遇しました。この台風はまず台湾に大きな被害を与えた後、日本へ向かったものでした。一つの台風によって、台湾と日本は同じ経験をしたということになります。同じことが日本の東日本大震災と台湾の921大地震(1999年9月21日に台湾中部で発生した大地震)についても言えるでしょう。原発事故以外は、すべて同じ経験をしています。
だからこそ、台風や地震のような大きな災害が起こったときには、台日双方は支え合いが必要で、それ以上の言葉はいらないように感じます。同じような経験をしてきたからこそ、お互いの関係はこれからも堅固になると思うのです。実際、日本で大地震が起きたとき、台湾は義捐金を送り、台湾で大地震が起きたときは日本が救援に来てくれました。こうした角度から見れば、日本も「親台」と言っていいのではないでしょうか。
東日本大震災が起こるまで、日本では民間団体が政府機関と直接接触する機会が少なかったように思えます。しかし、震災以降は、地方の再建や振興、救済情報のやり取りなどを通じて、民間と官(国)の相互信頼関係が強まったように思います。台湾でも921大地震以前は、それぞれの地域振興団体や協会は必ずしも連携がうまくいっていなかったのですが、震災以降は団結しようとする気運が生まれ、お互いの信頼度が高まりました。
仮に相互信頼がなければ融通も利かず、絶対に間違いが起こらないように厳格なルールを用いて行動を制限しなければならなくなります。反対に、お互いをよく知り、家族あるいは兄弟姉妹のような信頼関係になることができれば、多くのルールを作る必要はないでしょう。台湾と日本の関係も「共同の経験」によって、以前よりも強固なものになっているように感じます。
台湾と日本は、アメリカを加えて最近、合同活動を行っています。たとえば、「全球合作訓練框架(グローバル・コーポレーション訓練フレームワーク)」という国際的な研修の枠組みがあります。以前は台湾とアメリカ、そして他の関心ある国のみが参加していましたが、現在は日本が毎回参加するようになって、台日米の関係はよりいっそうはっきりして来ています。
つい先日も、台日米にグアテマラの代表者が加わり、ラテンアメリカの友人たちのために、テクノロジーを駆使して感染症予防のプロセスを短時間で行う方法などについて話し合いました。 日本はラテンアメリカに対するアドバイスをする際、この発展途上国を上から目線で誘導するような話し方はしませんでした。彼らの目線に合わせて、具体的な方法を検討し合っていました。
私たちはこのテーマについてある程度のコツを持っているのですが、必ずしも完全に適用できるわけではありません。そのため、ラテンアメリカの実際の状況を聞きながら、一緒に解決策などを考え出すようにしています。