高くても安くても問題の多い予備校たち
なぜならば300万円以下の場合、人件費、つまり先生方のレベルを下げて安い先生を使っているか、もしくは自習室がないとか、1クラスの人数がかなり多いとか、実は夏期・冬期講習や合宿が基本料金からは除外されていて、入学後にそれが発覚するなどということがよくあるからです。安いには安いなりの理由がある。何か大きな落とし穴があると思って間違いがないのです。
では、300万〜520万円はどうでしょうか。全国の医学系予備校の平均値を見ると、450万円くらいです。ということはデータが示すとおり、生徒が少なければそれだけ有能で高額な先生が雇いづらくなることを考慮に入れると、まあまあの先生を用意するのであれば、これが無難な平均値なのかもしれません。ただし、医学部を狙うのであれば、まあまあの先生では困るのです。
では、500万円以上ならば安心できるのでしょうか。話はそう簡単にはいきません。たとえばD予備校では、生徒と受験相談をすると、「君の成績の場合、これだけではダメだね」「英語が弱いね」「化学が弱いね」と言われます。「個別学習で補おうか」と間違いなく言われます。
そして、本人の息つく暇もなく、履修用紙にどんどん記入していきます。個別学習は1時間9000円です。「それぞれ4時間ずつ補おうか」などと言われます。3万6000円×年間32週ですから、115万2000円のアップです。しかも好きな先生の個別授業を取りたいときは指名料まで取るのです。
驚いたエピソードを一つ言うと、学生が「先生! ワカサギって何ですか?」と聞いたそうです。すると先生が「シラサギの仲間だよ」と答えたというのです。これはある医学部専門予備校の実在の先生の話です。
いずれにしても、最初の売り込みでは250万円ほどから600万円ほどだった金額が、ここでざっと見てきたように、簡単に倍の金額になりますし、600万円の打ち出し価格が平気で1000万円から2000万円に、というケースも実際にあるのです。
その実、そうしたカリキュラムのクオリティはどうでしょうか。もちろん一概に決めつけることはできませんが、傾向というものは歴然としてあります。
その傾向とは、先生のコストは下げるというものです。必然的に、そのレベルも下がります。それでお金はたくさん取る。それが、偽らざる傾向です。高いところほど素晴らしい教育をしているわけではないのです。医学部専門予備校は単価を高くできるので、その気になればボロ儲けできます。しかも、落ちた生徒がまた次の年も高額な授業料を払ってくれるわけですから、やめられない商売なのです。
【関連記事】
税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
年収600万円「家賃20万円タワマン暮らし」の36歳男性…住まいに関する「2つの悩み」
夫婦合わせて収入「月48万円」だが…日本人の「平均的な暮らしぶり」の厳しい現実
恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】