東大医学部の「入試面接」が残念すぎる結果を引き起こすワケ

灘高→東大理Ⅲ→東大医学部卒。それは、日本の偏差値トップの子どもだけが許された、誰もがうらやむ超・エリートコースである。しかし、東大医学部卒の医師が、名医や素晴らしい研究者となり、成功した人生を歩むとは限らないのも事実。自らが灘高、東大医学部卒業した精神科医の和田秀樹氏と、医療問題を抉り続ける気鋭の医療ジャーナリストの鳥集徹氏が「東大医学部」について語る。本連載は和田秀樹・鳥集徹著『東大医学部』(ブックマン社)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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頭の回転が速すぎるから会話が成り立たない

「東大医学部にアスペルガーが多い」は真実か?

 

鳥集 東大医学部は偏差値が高いゆえに、空気を読めない天才タイプ、もっと言えばADHD(注意欠陥多動性障碍)やコミュニケーションの苦手なアスペルガー症候群の人が多いという話を聞きます。

 

医師という職業は、無論、頭がよくなければ務まらない職業だということは誰もが知っています。しかし、一般の臨床医として働くならば受験偏差値でトップを獲るほどの頭脳は邪魔になることもあると聞きます。他大学出身の医師たちに東大医学部出身者の印象を聞くと、「頭はいいけれど、臨床医としては使えない人もいる」という答えが異口同音に返ってきます。

 

受験生のコミュニケーション能力を重視するために、2018年度から東大理Ⅲにも面接が再導入されたという。(※写真はイメージです/PIXTA)
受験生のコミュニケーション能力を重視するために、2018年度から東大理Ⅲにも面接が再導入されたという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

事実、私もこれまでの取材経験を通して、頷ずけるところが多くあります。頭の回転が速過ぎるせいか、取材をしていても、会話が成立しない人もいるのです。私が普通に日本語で質問をしているのに、なぜか「Yes」「Aha」など、英語で相槌を返してくる東大医学部出身者もいました。こうした医師が、臨床の現場で患者さんやスタッフと上手くコミュニケーションが取れているのかどうか、心配になります。

 

和田 まあ、私自身がADHDでアスペルガーですからね。小学1、2年生のときは、授業中に座っていられなくて、ずっと立ち歩きをしていましたし、ずっと人の気持ちがわからなかったから、イジメられたわけです。

 

でも、先にも言ったように、灘に行ったら私みたいな人がたくさんいるだろうと思いきや、中田考とかを除いてそういうこだわりの強い人間は、それほどいませんでした。東大理Ⅲに入ったときにも同じように期待したのですが、やはり私と似た人はあまり見つかりませんでした。今は、もっといないでしょう。鉄緑会みたいなつまらない塾に行って、言われた通りの宿題を死ぬほど真面目に詰め込み式でやった子どもが理Ⅲに入ってくるようになったわけですからね。

 

言葉が広く認知されたことにより、自称・発達障碍や自称・アスペルガーとむしろ誇らしげに宣伝している学生は大勢いるかもしれないですが、本当の変人は昔ほどいないのではないですかね。

 

 

鳥集 受験生のコミュニケーション能力を重視するために、2018年度から東大理Ⅲにも面接が導入されました。実は、理Ⅲでは1999~2007年度の入試時でも面接は行われていました。ただ当時求められていたのは、医学的知識や時事的関心、医師の倫理性が問われていたわけで、コミュニケーション能力は重視されてはいませんでした。

 

しかし、医師の適性は前期課程が終わったときに審査すればよいということで、一時廃止されていたのです。それが今回また、形を変えて復活しました。入試の点数に加さないけれども、面接でも落とす可能性があると東大は説明しています。

 

和田 私は、医学部入試面接にはずっと反対しています。反対する一番の理由は、「今の医学部教授たちに、学生の面接をする資格があるのか?」ということです。ここまで読んでくださった読者ならば、私の言っている意味を理解してくれるのではないでしょうか。

 

もともと教授の多くがアスペルガーだったら、そんな教授が面接をしたところで、本当にコミュニケーション能力が重視される面接ができると思いますか? 自分の存在を脅かさない、従順な学生を採用するだけで終わると思いますけどね。今以上に、つまらない学生だらけになりますよ。

 

さらに、まだ思春期も終わらぬ高校生をつかまえて、患者とのコミュニケーション能力なんて測れるわけがありません。10代の頃と30代では、別人のように明るくお喋りになる人はごまんといます。その逆の場合ももちろんあるでしょう。私もまともな医者になれたのは、医者になってから素晴らしい指導者に巡り会えたからです。

和田秀樹こころと体のクリニック院長
精神科医

1960 年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、国際医療福祉大学心理学科教授。川崎幸病院精神科顧問。和田秀樹こころと体のクリニック院長。「I&C キッズスクール」理事長。一橋大学経済学部非常勤講師。27 歳のときに執筆した『受験は要領』がベストセラーになり、緑鐵受験指導ゼミナール創業。製作・監督した『受験のシンデレラ』はモナコ国際映画祭で最優秀作品賞( グランプリ) を受賞し、『「わたし」の人生 我が命のタンゴ』もモナコで4部門受賞、『私は絶対許さない』でインドとニースの映画祭で受賞するなど、映画監督としても活躍している。

著者紹介

ジャーナリスト

1966年兵庫県生まれ。同志社大学大学院修士課程修了(新聞学)。会社員、出版社勤務等を経て、2004年から医療問題を中心にジャーナリストとして活動。タミフル寄附金問題やインプラント使い回し疑惑等でスクープを発表してきた。2015年に著書『新薬の罠子宮頸がん、認知症…10兆円の闇』(文藝春秋)で、第4回日本医学ジャーナリスト協会賞大賞を受賞。他の著書に『がん検診を信じるな~「早期発見・早期治療」のウソ』(宝島社新書)、『医学部』(文春新書)など。

著者紹介

連載「東京大学医学部」偏差値トップの超エリートコースはいま

東大医学部

東大医学部

和田 秀樹 鳥集 徹

ブックマン社

灘高→東大理Ⅲ→東大医学部卒。それは、日本の偏差値トップの子どもだけが許された、誰もがうらやむ超・エリートコースである。しかし、東大医学部卒の医師が、名医や素晴らしい研究者となり、成功した人生を歩むとは限らない…

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