日本人の資産形成意識に大きな衝撃を与えた「老後2000万円問題」。定年頃までに2000万円も用意できる人はどれだけいるのでしょうか? 実際のところ、退職金をプラスしても全然足りない場合がほとんどでしょう。それゆえに資産形成、とりわけ「投資」に対する関心が高まっているわけです。とはいえ「やるべきとは思うけど、何から始めればよいのか…」と足踏み状態の人も多いはず。ここではまず始めに取り組むべき「投資計画の立て方」を解説します。

投資計画に必要な3つの要素

資産形成の関心が高まっている昨今、投資に対する抵抗感はだいぶなくなってきたのではないでしょうか。とはいえ、現段階で「明日から投資をしましょう」と言われても、どうすればいいのか困る人は多いはずです。

 

投資の基本は、想定可能なリスクを把握し、それをどこまで覚悟して行うのか、そしてどれだけのリターンを狙うのかをしっかり計画することです。投資の計画に必要な要素は次の3つになります。

 

(1)基本的な金融リテラシー

本業をお持ちの皆さんには、基礎的な内容で十分です。あとはパートナーとなる金融のプロに相談しながら進めればいいでしょう。

 

(2)長期的な計画

「投資=短期間で儲かる」と考える人がいますが、それは誤りです。投資は、短期間で結果を求めれば求めるほどハイリスク・ハイリターン、つまりギャンブルに近づきます。なかにはそういった金融商品もありますが、確実な資産形成を狙う本連載では決してお勧めしません。数年から数十年の長期的視野に立って、「何歳までにいくら必要か」を計画することで着実な資産運用が実現します。

 

(3)広い視野

多くの日本人は、「資産形成=預貯金」という考えを持っています。これは視野が狭いといわざるを得ません。資産形成の方法は多種多様です。自分が今まで知らなかったからといって、怪しい方法とは限りません。前述のように何にでもすぐに手を出すのは禁物ですが、お宝情報というものは、なかなか表には出てこないものです。常に好奇心を持って、幅広い知識を得ることをお勧めします。

 

以上の3点を踏まえ、順を追って資産運用計画の立て方を紹介しましょう。

学生時代の口座も…「すぐに現金化できる資産」を確認

ステップ①現状の総資産を把握する

 

まずは今所有している資産がいくらあるのかを確認します。この額が明確にならないと、どれくらい増やせば目標額に達するのかが分かりません。資産とは預貯金を含めた現金と、株や投資信託などすぐに現金化できるものです。家やクルマなど現金化すると生活できないものは含みません。

 

預貯金に関しては、給与が振り込まれる口座だけの人もいると思いますが、そのほかにも学生の頃からあるものや、親が作ってくれていたものなどもあるかもしれません。それぞれ最新の状況を記帳して確認してください。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

子の教育費、夫婦の老後生活費…「欲しい額」を設定

ステップ②目標額と達成時期を設定する

 

総資産額を把握したら、次はそれをどれだけ増やすかの目標額を設定します。1000万円増やしたいのか3000万円増やしたいのか、またその達成時期によって、運用方法が大きく変化します。

 

目標額と達成時期を設定するということは、それを必要とする明確な目的があるはずです。例えば「10年後に子どもを留学させたい」という目的の場合、最低でも数百万円は必要でしょう。

 

しかし、留学先の国や学ぶ内容によってはもっとかかることもありますし、留学期間を延長することもあり得るので、何年くらいの余裕を見るかなどの見通しも立てておかなければいけません。

 

留学はしなくても子どもの教育費は意外にかかるものです。日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査結果」(2019年度)によると、高校入学から大学卒業までにかかる教育費は、国公立と私立を合わせた平均で939万円でした。子ども2人なら約2000万円です。

 

また、子どもを私立大学の理系に入れた場合の1年間の在学費用は平均184万円です。さらに一人暮らしをさせた場合の仕送りは年間平均102万円となっています。

 

そのうえ悠々自適な老後生活を送ることを考えると、最低でも年金生活となる65歳までに3000万円の資産が必要ではないでしょうか。

 

次ページ投資実践…目標額の達成に「本当に必要なこと」

※本連載は本橋亮氏の著書『なぜ消防士は不動産投資に向いているのか?』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

なぜ消防士は不動産投資に向いているのか?

なぜ消防士は不動産投資に向いているのか?

本橋 亮

幻冬舎メディアコンサルティング

「不動産」こそ消防士に最適な投資対象だ! 地方公務員である消防士の老後が安泰とされていたのも今は昔。共済年金が厚生年金に一元化され、将来受け取る年金額が減ることに加え、給料は頭打ち、退職金も減少傾向にあります…

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