多くの日本人を騒然とさせた「老後2000万円問題」。日本人が最も好む資産形成方法は「貯蓄」ですが、リタイアまでに2000万円も貯められる人はそうそういないでしょう。それどころか、実は年金や退職金が減っていく中では2000万円あっても赤字生活になるというのが現実です。「ゆとりある老後には3000万円必要」と言われたら、どうしますか? 今回は公務員の人でも実践できる「副業にならない不動産投資」の条件を見ていきましょう。

「公務員だから不動産投資できない」は誤解

老後のため、家族のため、たとえ公務員であっても投資はするべきです。しかし、株式やFXは値動きが激し過ぎて本業に支障が出そうですし、iDeCoは60歳まで換金ができません。そして仮想通貨は株式以上に値動きが激しくてあまりにもハイリスクです。

 

では、どの投資を選べばいいのか? 私は不動産投資をお勧めします。不動産は数少ない「ローリスク・ミドルリターン」の投資対象といえるからです。

 

しかし、公務員の方々に不動産投資の話をすると、多くの人が副業規定を気にされます。「公務員だから副業はできない」と言うのです。

 

確かに公務員は次の3つの理由から副業を行うことを規制されています。

 

⒈ 副業や兼業を行うことによって、公務員としての信用を失う行為につながる可能性がある。

⒉ 公務員は多くの個人情報を扱っているため、守秘義務を守れなくなる可能性がある。

⒊ 副業や兼業を行うことによって、本業に専念できなくなる可能性がある。

 

とはいえ、例えば親が所有する投資物件を相続した場合は、どうなるのでしょうか。「公務員だから相続するな」というのはあまりにも理不尽です。このようなことから不動産投資に関しては、ある一定の規模までは副業と見なされません。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

「副業になるケース」「ならないケース」を再確認

副業について国家公務員では、憲法・国家公務員法・人事院規則において基準があります。そして地方公務員に関しては、各自治体で独自の規定を設けているものの、ほとんどは国の基準に合わせています。

 

その国家公務員の基準のうち、特に不動産投資に関係する部分を紹介しましょう。

 

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人事院規則14‐8(抜粋)

 

3「自ら営利企業を営むこと」(以下「自営」という。)とは、職員が自己の名義で商業、工業、金融業等を経営する場合をいう。なお、名義が他人であつても本人が営利企業を営むものと客観的に判断される場合もこれに該当する。

 

4前項の場合における次の各号に掲げる事業の経営が当該各号に定める場合に該当するときは、当該事業の経営を自営に当たるものとして取り扱うものとする。

 

二 不動産又は駐車場の賃貸次のいずれかに該当する場合

 

(1)不動産の賃貸が次のいずれかに該当する場合

イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。

ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる

独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。

 

(3)不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行つている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合

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老後資産3000万円を目指す程度なら「副業」の対象外

要するに次の規模の不動産投資であれば副業と見なされないのです。

 

●4棟以下

●9室以下

●年間賃料収入500万円未満

 

この規模を超える場合でも、①不動産が公務員としての取引先と関係がないこと、②管理は管理会社に委託すること、③公務員の信頼性を損なわずに行うこと、に該当すれば承認を得ることが可能です。

 

例えば、親から5棟のアパートを相続したとしても、この3つの条件をクリアしていれば問題ないということです。

 

そもそも「4棟」「9室」「年間賃料収入500万円」は、公務員が行う不動産投資の範疇を完全に超えています。いくら公務員でもこのレベルに達するまで融資をしてくれる金融機関はないでしょう。

 

結論として、ゆとりある老後を送るために必要な、「資産3000万円」を目標とする不動産投資は、公務員の人々が心配する副業に該当しないのです。ただし、念のため管理は管理会社へ委託し、「不動産投資で儲かっている」といったことは大々的に口にするのは控えたほうがよいでしょう。

「借りられる金融機関」が豊富だからこそ見極めが肝心

公務員の金融機関からの評価は最高ランクです。したがって、ローンを組む金融機関は選び放題でしょう。一言で金融機関といっても都市銀行、地方銀行、信用金庫・組合、ノンバンク、政府系金融機関など多種多様で、特徴もそれぞれ異なります。

 

例えば、都市銀行は全国展開をしているので身近に感じる人も多いかと思いますが、融資に関しては大手企業や資産家をメインターゲットとしているので、一般的な不動産投資ローンにはあまり積極的ではありません。

 

地方銀行は、不動産投資への融資に前向きなところが多く、金利も低めです。しかし、その一方で多めの頭金を求められることがあるようです。

 

日本政策金融公庫などの政府系金融機関は、不動産投資には積極的ですが、融資額の上限が低かったり、融資期間が短かったりする傾向があります。

 

私の知人に、以前このようなことがありました。彼も公務員なので、融資の依頼先は選り取り見取りでした。そのため、私たちの提携銀行ではなく親から紹介された地方銀行から借りる気になっていました。かなりの低金利を提示してきたからです。

 

ところがその地方銀行は、物件価格の3割の頭金(700万円)を求めてきました。彼にそこまでの蓄えはありません。そこで彼はなんとか少ない頭金でも済むように交渉を続ました。しかし、これが難航。そうこうしているうちにほかの人に物件を買われてしまいました。

 

選択肢が多ければ「あれも、これも」と目移りしてしまうことはよく理解できます。けれども選択肢が広いからこそ、どの金融機関にするのか見極めなければ損をすることになります。

 

最善の不動産投資ローンは、同じ公務員であっても人それぞれ異なります。万一自分が亡くなった際の家族の生活が心配ならば団体信用生命保険の内容を重視するべきですし、ある程度の預貯金がある人なら頭金を多く求められるが金利は低い銀行を選んだほうがいいでしょう。

 

また、金融機関が出す融資の条件は日々変化しています。支店長が交代しただけで今までの融資条件がガラッと変わる、といったことは決して珍しくありません。

 

その時々で最善のローンを見つけるには、不動産投資を始める目的を明確にすると同時に、変化を続ける金融機関の情報を常に把握している優れた不動産投資会社をパートナーとすることが必要不可欠です。

 

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