東証の市場改革アップデート(2021年2月)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●東証は昨年12月、新たな3市場への上場制度や、TOPIX等の見直しに関するプランを公表した。

●新市場選択の手続きや上場維持基準に関する経過措置のほか、TOPIXの新ルールも示された。

●流通株式時価総額に関しTOPIX退出基準も設定、第三次制度改正事項は春以降に公表へ。

東証は昨年12月、新たな3市場への上場制度や、TOPIX等の見直しに関するプランを公表した

2020年7月31日付レポート『東証の市場改革~現時点でのアップデート』では、東京証券取引所(以下、東証)が2018年から着手している市場改革の進捗を解説しました。その後、東証は2020年12月25日、「市場区分の見直しに向けた上場制度の整備について(第二次制度改正事項)」および「TOPIX(東証株価指数)等の見直しについて」を公表しました。今回のレポートでは、それぞれのポイントを確認します。

 

まず、第二次制度改正事項では、現行の「市場第一部」、「市場第二部」、「マザーズ」、「ジャスダック」の4市場区分が、「プライム」、「スタンダード」、「グロース」の3市場区分へ移行する時期は、2022年4月4日であることが明示されました。また、上場にあたっての厳格な審査基準を設け(図表1)、市場で実際に売買できる「流通株式」を重視する観点から、流通株式の定義を見直す方針が示されました。

 

(注)流動性とコーポレート・ガバナンスの各項目およびスタンダード市場の財政状態は上場時見込み。プライム市場の経営成績は、2つのうちいずれかをみたすことが要件。 (出所)日本取引所グループの資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]新市場の主な上場基準案 (注)流動性とコーポレート・ガバナンスの各項目およびスタンダード市場の財政状態は上場時見込み。プライム市場の経営成績は、2つのうちいずれかをみたすことが要件。
(出所)日本取引所グループの資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成

新市場選択の手続きや上場維持基準に関する経過措置のほか、TOPIXの新ルールも示された

上場企業は、2021年9月1日から12月30日までの間に、プライム、スタンダード、グロースのいずれかの市場区分を選択して東証に申請し、東証は申請を踏まえて新市場区分を決定する流れとなります。また、上場維持基準に関する経過措置として、別途定めた移行区分(市場第一部からプライム市場もしくはスタンダード市場への移行など)に該当する上場企業には、当分の間、緩和した上場維持基準が適用されます。

 

次に、TOPIX(東証株価指数)等の見直しについては、TOPIXをはじめとする主要株価指数に関する基本方針が示されました(図表2)。TOPIXは、新市場区分の上場制度施行日(2022年4月4日)以降も継続して算出され、構成銘柄は、移行先の新市場にかかわらず、同施行日の前営業日(2022年4月1日)時点の銘柄となります。また、流通株式時価総額の一定基準を満たさない銘柄は、TOPIXへの影響度が段階的に引き下げられます。
 

(出所)日本取引所グループの資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]TOPIX等の見直し案 (出所)日本取引所グループの資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成

流通株式時価総額に関しTOPIX退出基準も設定、第三次制度改正事項は春以降に公表へ

流通株式時価総額の一定基準を満たさない銘柄とは、2022年4月1日時点で、①2021年6月30日を基準とする「新市場区分における上場維持基準への適合状況の通知」における流通株式時価総額が100億円未満で、かつ、②この①の判定に用いた決算期の翌期末で流通株式時価総額100億円未満の銘柄です。これらは、2022年10月31日から四半期ごとの最終営業日に10段階で構成比率が調整され、2025年1月最終営業日に除外されます。

 

なお、以上の方針は、まだ確定ではなく、東証は現在、2020年12月25日から2021年2月26日までの期間を設けて、意見募集を行っています。また、新市場区分における上場制度のうち、コーポレートガバナンス・コードの内容や、上場料金などについては、「第三次制度改正事項」として、2021年春以降の公表が予定されています。こちらも公表後、改めて内容を確認します。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『東証の市場改革アップデート(2021年2月)』を参照)。

 

(2021年2月3日)

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

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三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフマーケットストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

投資情報グループは、総勢14名のプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場についての運用会社ならではの高度な分析を社内外に情報発信しています。幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、活動する機会や媒体は多岐にわたります。年間で約800本の市場レポートを作成し、会社のホームページで公開中(2019年度実績)。

著者紹介

連載【市川雅浩・チーフマーケットストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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