地中障害、土壌汚染、アスベスト…日本の暮らしには様々なリスクが潜んでいます。売却したい土地や建物に問題が見つかったとき、どうやって対処すべきなのでしょうか。

かなりの部分で鉛汚染が…

取引対象地自体が汚染されている取引の二つめのケースは、東京都東部の区にある清算する会社の駐車場と住居兼事務所の敷地の売却のケースです。

 

このエリアは東京大空襲の被災地であるので、焼夷弾の燃料に鉛が添加されていた可能性があるため、50%位の確率で鉛汚染の結果が出ると土壌汚染調査会社からいわれていました。そこで、売主会社の清算人の了承を得て、土壌汚染調査を最初に行いました。その結果、対象地のかなりの部分から鉛汚染の結果が出ました。

 

土壌汚染調査を依頼するに際して留意したのは、調査費用の軽減化でした。そこで、費用が数十万円と安く済む表層土壌調査のみ行い、これによって、揮発性有機化合物、重金属、農薬、PCBの有無と汚染の平面的な広がりを調べました。詳細調査をすれば汚染のあった区画の10mまでの汚染の深度と地下水の汚染の有無が判明します。しかし、その調査には、数百万円の調査費用がかかります。

 

土地の用途によっては、2m程の深さの土の入れ換えで、土壌改良はよしとする購入者も多数いるので、無駄な費用をかけたくなかったのです。

 

土壌汚染表層調査の結果を開示して、入札による売却を行い、清算人、清算会社の株主も満足する価格を提示した落札者と売買契約をすることができました。

 

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本記事は『増補改訂版 不動産は「オークション」で売りなさい』(幻冬舎MC)より一部を抜粋、再編集したものです。

増補改訂版 不動産は「オークション」で売りなさい

増補改訂版 不動産は「オークション」で売りなさい

土屋 忠昭

幻冬舎メディアコンサルティング

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