土壌汚染対策法が「課題だらけ」なワケは…
土壌汚染対策法は、「①人の健康の保護」「②私有財産としての不動産価値」「③工場等の企業活動」など、多くの社会問題や経済問題に対して配慮が必要とされる複雑な事情があるため、制度面でも、まだまだ多くの課題が残されています。
即ち①を徹底すれば、特定有害物質も同法所定の物質に限らず有害性のある物質全てが規制対象となるし、有害物質の有無の調査も10mあるいは30m格子内の一地点での調査ではなく、もっと密に調査をすることとなり、汚染除去の方法も不溶化処理でなく、完全浄化を目指して掘削除去を行うことになります。しかし、現行法は、②や③にも配慮して、不溶化処理も認めています。
私たちが直面したケースで現行法の下で、土壌汚染調査を行った結果、同じ土地について複数の調査会社に調査を依頼した結果A社の調査では汚染ありとの結果が出たがB社の調査結果では汚染なしとの結果が出たり、別件では、同じ土地について、A社の調査では、二種類の汚染物資が報告されたが、B社の調査では三種類の汚染物質が報告されたということもあります。
いずれにしても売買契約にあたって、問題点は必ず書面によって結論を明示し、調印することの重要性を再認識しました。