驚愕!「約300本」地中に残されていたのは…
取引対象地自体が汚染されている取引の三つめのケースは、前のケースと同様に東京都東部の区にある、ある会社の倉庫跡地と鉄筋コンクリート造の事務所・寄宿舎兼用の空家を売却するケースです。
このエリアは、古くから中小の工場、倉庫が混在するエリアで、売主が事前に土壌汚染調査を二つの調査会社に依頼し、一社からは鉛とヒ素による汚染、もう一社からは、これらに加えてセレンによる汚染が報告されており、汚染処理費用として数億円の見積書が提示されていました。さらに、この物件では、既に解体されている鉄筋コンクリート造の倉庫の鉄筋コンクリート基礎杭が地中障害として約300本地中に残されていました。
このような状況のもとでの物件売却では、土壌汚染と地中障害がない物件価格の半値位でしか、売却できないのではないかと予想していました。
この物件売却は、物件価格を超える債務を売却代金の限度で弁済するいわゆる任意売却でした。物件の所有者(債務者)の代理人の弁護士が入札方式での売却を行いました。債権者は、あるメガバンクであったため、弁護士は買主をさがす仲介(宅建)業者として、メガバンク系列の宅建業者3社と物件所在地の地元宅建業者と私どもの計5社に仲介を依頼しました。
買主さがしは、多チャンネルによる仲介(宅建)業者の競争ですので、大激戦となり、めぼしいデベロッパーのほとんどに、この物件情報が流布されました。
最高価格のデベロッパーは、土壌汚染を理由に購入資金の融資が不調となり脱落しましたが、次順位のデベロッパーは自己資金で購入できるので、このデベロッパーと取引を完了しました。この契約金額は、当初見込んでいた土壌汚染と地中障害がない物件売却価格に近いものでした。いわゆる相対取引では、このような高額売却は無理で、入札で買主に競合してもらったからこそ出た価格であると思います。
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