医学部専門予備校・TMPS医学館代表取締役の長澤潔志氏が、自らの経験談をもとに、医学部受験のゆがんだ実態について解説していきます。

推薦入試はやめさせなければかわいそうだ

と言うのです。今度は私が沈黙する番です。言葉が出ませんでした。すると彼は、

 

「絶対に誰にも言わないようにと言われているのです」

 

とおずおずと言いました。私は思わず、

 

「誰に? お父さんに言われたの?」

 

と聞いてしまいました。すると、彼はきっぱり言いました。

 

「いいえ。母親の知り合いの国会議員です」

 

結局、この学生は偏差値50くらいで医学部に合格していきました。このような生徒たちを何度も目の当たりにしていると、真面目に勉強している生徒がかわいそうになってしまいます。

 

推薦入試は即刻やめて欲しい。これは私の強い希望です。もちろん国公立には、このような話はありません。推薦枠をめぐる不正は、寄付金のある私大で横行していることです。皆さんがペーパーテスト以外の選抜方法を求めれば求めるほど、裏口入学が増えてしまいます。世の中、きれい事だけではないということを多くの方に知っていただきたい。そして一生懸命勉強している生徒のためにも、推薦入試に反対して欲しいのです。

 

もう一度言います。推薦入試の半分以上は裏口入学と言っても、過言ではありません。医学部の場合はほとんどだと言ってもいいでしょう。金持ちだけが救われる、そんな入試制度を打破するためには、一般の方の反対意見が大きな力になります。草の根運動だと思って、反対の声を上げてもらいたいと願っています。

 

 

長澤 潔志

医学部専門予備校・TMPS医学館代表取締役

 

本連載は、『医学部受験の闇とカネ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。なお本記事で紹介している内容は、著者の体験をもとに執筆しております。万一、本連載の記載内容により不測の事故等が生じた場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。

医学部受験の闇とカネ

医学部受験の闇とカネ

長澤 潔志

幻冬舎メディアコンサルティング

講師歴30年の医学部専門予備校代表の長澤潔志氏が、実体験をもとに、合格率を偽って、「授業料を挙げる予備校」、「コネとカネがなければ合格できない推薦枠を設ける大学」、「指導力不足で受験生を浪人に導く高校」など、さま…

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