医学部専門予備校・TMPS医学館代表取締役の長澤潔志氏が、自らの経験談をもとに、医学部受験のゆがんだ実態について解説していきます。

増えていく金儲けしか考えていない医者たち

こんな医者はいらない

 

さて、このような厳しい受験を乗り越えたあと、本当に必要な医者とはどのような医者でしょうか。

 

人の命を預かる大事な仕事ですから、それなりの報酬は当然と思います。しかし、それとは別に、超高齢社会の中で、チーム医療を重視し、治療だけでなく、地域に密着した予防医療にも力を入れる。そのような目的意識の高い医者が、本来の医者として求められているのだと私は思います。

 

現在の医療費の増大は何とか止めなければいけないのは確かでしょう。しかし、儲かるから医者になるという精神構造も変えていかなくてはいけないのです。

 

ところが、医学部専門予備校には、正直、拝金主義が横行しています。口八丁手八丁でお金を吊り上げる。そんな文化が根付いています。彼らが狙うのは、やはり拝金主義にまみれた医者たちです。何が何でも息子や娘を医者にして、自分の病院や医院のあとを継がせる。そのためには、お金がいくらかかってもいい。そうした〝医者〞の子供を私は正直、医者にしたくはありません。

 

こんなことを言えば、私の経営にはたぶん、マイナスでしょう。しかし、これだけは言わないわけにはいかないのです。青臭かろうとも、いかに〝正義の医者〞を育てられるか。患者を慮る医者を育てられるか。そこが最も大切なことだと思っています。

 

予備校に通って来る子供たちを見ていても、本音を言えば、別に医者になどなりたくない。父親がうるさいから仕方なくなるだけ。そう考えている子供たちがあまりにも多いと考えています。

 

本当は、そうした〝お客さま〞よりも、本当に医者になりたいと思っている、医者という存在、その職業意識が芽生えている子供たちを応援するのが予備校の役目だと思っています。

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本連載は、『医学部受験の闇とカネ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。なお本記事で紹介している内容は、著者の体験をもとに執筆しております。万一、本連載の記載内容により不測の事故等が生じた場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。

医学部受験の闇とカネ

医学部受験の闇とカネ

長澤 潔志

幻冬舎メディアコンサルティング

講師歴30年の医学部専門予備校代表の長澤潔志氏が、実体験をもとに、合格率を偽って、「授業料を挙げる予備校」、「コネとカネがなければ合格できない推薦枠を設ける大学」、「指導力不足で受験生を浪人に導く高校」など、さま…

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