医学部は入学前にも大金がかかる
医学部は定員も少なく、かかる金額も高額
そのうえで、読者の皆さんに知っていただきたいことは、医学部受験の実態です。全国の大学の医学部が募集する人数は、国公私立合わせても1万人を超えません。
比較してみましょう。早稲田大学1校で1学年の人数は約1万人です。医学部は全国すべて合わせてもその程度なのです。いかに狭き門かということが分かると思います。この枠を求めて押し寄せる志願者数は、2014年度には、約16.9万人、2020年度では減少して11.9万人、合格率は7.7%です。私立の場合の倍率は7倍程度から70倍程度までさまざまで、平均倍率は30倍弱です。国立はどうかと言うと、センター試験で90%以上の点数を取らないと受かりません。つまり、5教科7科目すべてで満点近くを取らなくてはダメなわけです。
それほど難易度が高い道です。息子さんや娘さんが医学部に行きたいと言いだしても、そう簡単にお勧めできる道ではありません。
あるいは、医者である親が、ご自身の医院を継がせるために、高校3年生になっていきなり子供さんをせかしても、それはほとんど無理な相談です。
国立大学の医学部は本当に高嶺の花です。私立ではどうでしょうか。残念ながら私立でも東大の文系レベルの学力が必要なことも往々にしてあります。しかも用意しなければならないお金も大変ですし、入学金や授業料も高額です。
医学部を留年せずにストレート(6年)で卒業できたとしても、国公立大学であれば平均約350万円で済む学費が、私立大学の場合は(寄付を入れると)3000万〜5000万円かかります。
つまり、裕福でなければ子供を医者にすることができないのです。これに後継者問題をからめれば、医者の親は医者が多いことは当然の話と言えます。
そうではない庶民の家庭に生まれた子供たちは、狭き門なのは分かっていても、国公立専願で臨むしかなく、またこの構図は変わりようがありません。
ちなみに、医学部に合格するためには、予備校に通うことが必要とされます。予備校に通えば合格できるというわけではないのですが、さりとて、独学ではほとんど合格の可能性はないと思ったほうがいいでしょう。
では、その予備校にいったいいくらかかるのか。予備校のうたい文句は150万円から400万円というところですが、入ってみると、あれもこれも必要と言われ、こちらも倍から高い場合は2000万円にまで跳ね上がるのです。
これに加え、小学校から高校までの学費ももちろんかかっています。すべて国公立で200万円、すべて私立だと1000万円を超えるのではないでしょうか。予備校にかかる金額が1000万円で高校3年生の時に通って、一発合格を果たしたとしても、すべて私立であれば、実に5000万円の資金が必要ということになるのです。