本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

メキシコペソは1月に一段高

■メキシコの通貨ペソが堅調に推移しています。新型コロナの感染拡大の影響により昨年3月にかけて急落しましたが、その後底入れし、米国の実質金利の低下に伴うドル安地合いを背景に上昇基調を続けています。今年1月に入ると一段と上昇し、一時対ドルで約10ヵ月ぶりの高値を付けました。

 

■メキシコペソの一段高の背景には、米民主党が大統領と上下両院で多数派を確保する「トリプルブルー」となったことがあります。米国での大規模な財政出動により、米景気の回復に伴ってメキシコ経済も持ち直すとの期待が高まりました。また、メキシコに強硬な姿勢で接していたトランプ政権に比べ、米国との関係が改善するとの期待もメキシコペソを支えているとみられます。

 

(注1)データは2019年1月1日~2021年1月27日。 (注2)メキシコペソ/米ドルは逆目盛。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
メキシコペソ (注1)データは2019年1月1日~2021年1月27日。
(注2)メキシコペソ/米ドルは逆目盛。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

原油価格の上昇も追い風

■さらに、原油価格の上昇基調も、産油国通貨であるメキシコペソの押し上げ要因と考えられます。産油国の減産に伴う需給引き締まりへの期待などから、原油先物指標のWTIは今年に入り、約10ヵ月ぶりに1バレル50ドル台を回復しました。世界的に景気回復期待が高まるなか、足元は52ドル台に強含んでおり、メキシコペソへの追い風となっています。

 

(注1)データは2019年1月1日~2021年1月27日。 (注2)メキシコペソ/米ドルは逆目盛。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
メキシコペソと原油価格 (注1)データは2019年1月1日~2021年1月27日。
(注2)メキシコペソ/米ドルは逆目盛。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

バイデン米政権への期待がメキシコペソを後押し

■1月26日発表の国際通貨基金(IMF)の経済見通しによれば、2021年のメキシコの成長率は前年比+4.3%と、昨年10月の前回予測から0.8ポイント上方修正されました。IMFは、米国などの追加経済対策やコロナワクチンの普及を踏まえて2021年の世界の成長率を引き上げており、バイデン米政権による経済対策で米景気が回復すればメキシコ経済も恩恵を受けるとみていると思われます。メキシコ経済の停滞からの脱却ペースは依然として弱いものの、メキシコペソは景気回復期待から今後も堅調な展開が見込まれます。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『メキシコペソは堅調推移』を参照)。

 

(2021年1月29日)

 

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