1月下旬に波乱の展開
史上最高値を更新したがS&P500種指数の月間騰落率はマイナス
■1月の米国株式市場は、新型コロナの感染拡大が引き続き懸念されたものの、民主党が大統領、上院・下院の過半数を占める「ブルーウェーブ」が実現したことで追加の経済対策に対する期待が強まりました。NYダウは20日、S&P500種指数とナスダック総合指数は25日に史上最高値を更新しました。しかし、高値警戒感が強まる中、個人投資家の投機的な買いが集中した一部銘柄が急騰し、ショートポジションを持つヘッジファンドの破綻懸念が高まったほか、変動性の急上昇もリスク回避の動きを強めさせ、米国株式市場は月末にかけて急落しました。月間の騰落率はNYダウが前月比▲2.0%、S&P500種指数が同▲1.1%、ナスダック総合指数は同+1.4%でした。
10-12月期の業績は上振れ
「情報技術」の上振れが顕著
■波乱の展開となる中、米国では、S&P500種指数採用企業の20年10-12月期の決算発表が続いています。純利益の成長率が1月末時点予想で前年同期比▲1.5%と、昨年末の同▲10.3%予想から大幅に上方修正されています。21年1-3月期は同+19.8%(同+16.0%)、4-6月期は同+49.3%(同+45.7%)、7-9月期は同+16.4%(同+14.1%)といずれも上方修正で、10-12月期も同+15.7%と2桁の増益が続く見通しです(リフィニティブ集計)。20年10-12月期決算発表は2月1日時点で37%の進捗ですが、上振れは84%です。中でも「情報技術」の上振れは97%にも達しています。
米国株式市場は上昇基調を維持しよう
■1月後半の波乱要因となった個人投資家による投機的な売買は、過剰流動性の負の面をクローズアップさせました。今後も市場の混乱や何らかの規制強化へと結びつく可能性は否定できません。
■ただ、米国株式市場の基調は強いと考えられます。1点目は堅調な業績を反映している点です。S&P500種指数の12ヵ月先予想株価収益率(PER)は高水準ですが、株価が高値を更新する中、横ばい傾向で推移しており、過熱感が高まっている訳ではありません。2点目に、コロナ感染が収束しつつあり、今後ワクチン接種が加速すると考えられること、3点目にバイデン政権の大型景気対策の実現が視野に入り始めることです。金融政策も緩和基調が維持され、春先に向けて米国株式市場は高値を試す可能性があると期待されます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『急落したが、米国株式市場は上昇基調を維持しよう』を参照)。
(2021年2月2日)
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