国の家賃支援給付金は、申請に対して84.6%が給付されています(2021年1月24日時点)。しかし、都道府県独自の給付金に「上乗せ策」があることは意外と知られていません。コロナ禍で苦境に立たされている中小企業は、対象となる給付金は迅速に申請することをおすすめします。今回は、その一部を紹介し、また後半では、賃料収入の減少に悩むビルオーナーのために「新しい美容室の形態」について説明します。※本連載では、企業再生のスペシャリストである坂本利秋氏が、中小企業が経営難を乗り切る方法を解説していきます。

顧客の視点…コロナ禍で「個室」のほうが安全

では、顧客からすると、シェアサロンにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

 

筆者は当初、懐疑的でした。なぜかというと、確かに特定の美容師にずっとカットしてほしいという希望は理解できます。しかし、「広々としたサロンから同水準のサロンであればまだしも、個室サロンでは、顧客はついていかないのでは」と考えていたからです。

 

ただし、ヒアリングしてみると、ほとんどの顧客がついていくそうで、筆者の予想が外れていました。さらにコロナ禍においては、不特定多数が空間を共有する大型サロンよりも、特定少数しか利用しない個室のほうが安全に感じるようです。

 

今後はますます、シェアサロンを支持する顧客が増えるかもしれません。

ビルオーナーの視点…「利回り63%」なら2年で回収可

シェアサロンは、美容師と顧客にとってメリットがありますが、ビルオーナーにとってはどうでしょうか? 20坪の空室を前提にシミュレーションしてみます。

 

開業に先立ち、5坪の部屋を4分割する工事、水回りの整備、カット台・シャンプー台を整備して1,500万円。美容師の募集費が4名で400万円とすると、初期投資は1,900万円程度になります。


この場合の収益は、1室の賃料が25万円とすると、4室で月額100万円、年間で1,200万円です。ラフな計算ではありますが、利回りは脅威の63%です。これだと、2年未満で投資回収が可能です。


先ほどのシミュレーションの5坪で25万円は都心価格であり、地方では価格が下がります。ただし、初期投資は、都心でも地方でも大きな差はありません。

 

総合すると、都心部の空室で悩む商業ビルオーナーにとっては、シェアサロンは真剣に検討すべき事業だと考えます。このシェアサロンをFC展開している企業もありますが、ビルオーナー、美容師の費用負担が重いため、個別でビジネス展開してもよいでしょう。実際、筆者のところにはビルオーナーから空室対策の相談が増えています。

 

省スペース個室の「シェア何々」という業態は、今後、はやりそうですね。

 

 

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