コロナ禍で苦境に立たされている中小企業。再生するには、「客観的なデータ」に基づいて戦略を立てることが重要です。今回はコロナ禍における地域の実情の見方と、自社の資金繰りの見方について説明していきます。※本連載では、企業再生のスペシャリストである坂本利秋氏が、中小企業が経営難を乗り切る方法を解説していきます。

「客観的なデータ」を使って再生戦略を立てる

経営者の悩み、疑問はつきない(※画像はイメージです/PIXTA)
経営者の悩み、疑問はつきない(※画像はイメージです/PIXTA)

 

筆者は、地方の中小企業経営者と新型コロナの影響について話をすることがあります。国内全般や東京の状況はニュース等で詳細が報じられているので、データに基づいて会話をすることが可能です。しかし、地方の情報は、都道府県のHPや地方紙などに情報を取りにいく必要があります。同じように、特定業種の情報も探しにいく必要があります。

 

次の会話は、ZOOM会議開始前の雑談でありそうな光景です。

 

「新型コロナが流行りだしてから、一度もワインバーに行っていないよ。自分の住む福島県では、みんな家飲みだな」

 

「確かに外へ飲みに行くことはないですね。でも北海道ではそんなに家飲みが増えた実感はないです」

 

2人とも肌感覚で話しをしており、事実関係はまったくわかりません。

 

そこで、次の地図をご覧ください。これは、ワインの消費を1年前と比較したものです(図表1)

 

[図表1]2021年1月11日~17日のワイン消費(前年同週比)


これを見ると、確かに福島県では増え、北海道は減少しています。

 

そして次は、20時から24時の移動人口を表したものです(図表2)

 

[図表2]2021年1月11日~17日の20時~24時の移動人口(2019年同週比)

 

さすがに一様に移動が減っていますが、どちらかというと東日本の減少幅が大きいことがわかります。

 

最後は、主要駅における滞在人口を表したものから一部抜粋したものです(図表3)

 

[図表3]2019年12月30日~2021年1月17日の主要駅における滞在人口(2019年同週比)

 

すごく興味深いデータだと思いませんか?

 

さらに人流、消費、飲食、宿泊、イベント、興味・関心、雇用、企業財務の切り口で、地域別に表せるとしたら、これはもう使うしかありません。

 

これがあれば、肌感覚だけでなく、「客観的なデータ」に基づいて中小企業経営者も再生戦略を立てることができます。

 

本来ならば高額で報告書を調査会社から購入する必要がありますが、このデータは無料です。ネット環境があれば、だれでも使い放題です。なぜなら、『V-RESAS』という内閣府の地方創生推進室のビッグデータチームがサイトを運営しているからです。あまり難しく考えず、まずはアクセスして使ってみることをおすすめします。

 

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