アフターコロナ時代の新しい資産運用の考え方

新型コロナウイルスにより落ち込む雇用や経済を支えるために、各国で大規模な財政政策と金融政策が実施され、債券の利回りは大きく低下した。これは資産運用に大きな影響を及ぼす。分散投資の基本であるバランス型ポートフォリオの期待リターンを押し下げるからだ。この問題に対応するには、株式や債券の中身を見直したり、今まであまり投資されてこなかった金や低リスク型ヘッジファンドなど、過去異なる動きをしてきた資産を組み合わせるという柔軟な発想が求められるのではないだろうか。

[3/10開催・会員限定セミナー]「ヘッジファンド投資」の魅力と活用法
ニューヨーク
から現役ヘッジファンドマネージャーが解説! >>詳細はこちら

 

投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、DEEP INSIGHT。本連載では日々のマーケット情報や政治動向を専門家が読み解き、深く分析・解説します。

アフターコロナ時代、世界国債の長期のリターン予想は円換算でマイナスに。従来型の資産運用には見直しが求められている

昨年を振り返ると、新型コロナウイルスにより落ち込む雇用や経済を支えるために、各国で大規模な財政政策と金融政策が実施された。その結果、世界の主要国の債券利回りは大きく低下し、今後期待できるリターンも大きく低下した。一方で株式においてもOECD加盟国の長期の生産性の動向を調べると低下傾向にあり、世界の企業業績は今年、そして来年と大きく回復が見込まれているものの、長期的な成長ラインは、徐々に低下傾向を見せている。

 

このように新型コロナウイルスの影響で様変わりした投資環境を受け、昨年、ピクテでは今後5年間、それぞれの金融市場がどれだけのリターンを示すのかという予想を発表した。

 

図表1に示されているように高いリターンが期待できるのは新興国を中心とした株式となっており、ヨーロッパや日本、スイス、などの先進国の株式も一桁台の半ば、そして世界株式全体では円換算で年率5%というトータル・リターン予想となっている。

 

2021年~2025年の5年間のリターン予想、円ベース、年率換算、ピクテ・アセット・マネジメント予想(2020年6月末時点)
[図表1]今後5年間の長期市場展望 2021年~2025年の5年間のリターン予想、円ベース、年率換算、ピクテ・アセット・マネジメント予想(2020年6月末時点)

 

一方で、債券については、世界的に対GDP比での公的債務残高が急拡大したことを受けて、人為的に低金利が続いていくだろうとの見方から、今後5年間のトータル・リターンは、米国やドイツの10年国債の場合、円換算でマイナス、世界国債も円換算で年率-0.5%と予想している。

 

もう一つのカテゴリーとして、オルタナティブ(非伝統的)資産、ここにはゴールド、不動産、ヘッジファンドなどが含まれるが、例えば金の場合、ドルベースで年率7%、円換算で4.5%と比較的高いリターン予想となっている。

アフターコロナ時代の資産運用には、異なる動きをする資産を組み合わせるという柔軟な発想が求められる

図表2はこうした市場見通しに基づき、現在の日本の投資家の置かれている状況を、リスク・リターンのイメージ図で示したものだ。伝統的資産である株式を30%、債券を70%組み合わせたバランス型運用の場合、債券と株式の期待できるリターンが低下することで、「以前の投資環境」で示した点から「今後の投資環境」で示した点へと(Aの矢印)、同じリスクをとりながらも、より低いリターンに甘んじなければならない時代がやってきていると考えている。

 

イメージ図
[図表2]市場環境の変化により低下してしまった資産のリターン イメージ図

 

これに対して、かつてのようなリターンを求めて、Bの矢印のように株を増やそうとすると、確かに期待できるリターンは高くはなるものの、リスクも同時に増えてしまい、その結果ポートフォリオはより不安定になっててしまう。

 

そこでもう一つの考えは、リスクが増えすぎるのは困る、というのであれば、図表3に示しているように、もっと新しい別の資産、伝統的資産に対して代替資産とよばれている、例えば金やヘッジファンドなど、投資家の皆様が今まで投資をしてこなかったであろう資産にも、対象を広げて分散投資をするという考え方だ(矢印C)。こうした資産をポートフォリオの中に組み入れる事で、資産運用がより豊かになる可能性があると考えている。このような方法であれば、株を増やすような形でリスクを取らなくても、より高いリターンが期待できると考える。

 

イメージ図
[図表3]多様な資産を組み合わせ、リターンの期待を引き上げる イメージ図

 

今後待ち受けている投資環境を考えると、このようにより柔軟にポートフォリオの見直しをしてゆく、株式や債券の中身を見直したり、様々な資産を組み合わせてゆく、これがアフターコロナ時代の新しい資産運用の考え方では、と考えている。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『アフターコロナ時代の新しい資産運用の考え方』を参照)。

 

(2021年1月25日)

 

塚本 卓治

ピクテ投信投資顧問株式会社 投資戦略部長

 

【関連情報&イベント・セミナー】

幻冬舎グループがIFAをはじめました!
幻冬舎グループのIFAによる「資産運用」個別相談会
認知症による金融資産凍結リスクを回避する信託」とは?
【3/3開催】初心者のための「仮想通貨」投資の法的リスクと対策
【3/3開催】独立系運用会社CEOが明かす「特化型ヘッジファンド戦略」のすべて
【3/4開催】コモンズ流30年・30社の企業」への厳選投資ノウハウ
【3/4開催】高所得者が密かに注目!「ドクターヘリ投資とは
※【3/9開催フロリダ・カリフォルニアの「住宅開発プロジェクト」投資
【3/9開催】今さら人には聞けない「オペレーティングリース投資の基礎講座
※【3/11開催償却メリットを狙った「京都の町家」投資の魅力
※【3/11開催】「タンス預金」のグローバル活用術~ビットコイン編

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 投資戦略部長

日系証券会社にて債券及びデリバティブ業務に従事した後、外資系運用会社および日系ファンド・リサーチ会社にて投資信託のマーケティングを担う。通算20年以上にわたり運用業界で世界の投資環境を解説。ピクテではプロダクト・マーケティング部長等を経て、現職。経験豊富なストラテジストが揃う投資戦略部を統括する傍ら、自らも全国の金融機関や投資家を対象に講演を行う。

マサチューセッツ工科大学(経営学修士)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

著者紹介

連載PICTETマーケットレポート・Deep Insight

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧