中小企業を支援「事業再構築補助金」のよくある疑問
新型コロナにより従来のビジネスモデルが大きく毀損してしまった中小企業は、事業再構築補助金(第3次補正予算で成立見込)の利用がおすすめです(関連記事:『続報!コロナ禍で瀕死の中小企業を救う「事業再構築補助金」』)。経産省のサイトによくある問い合わせへの回答が掲載されましたので、中小企業経営者にとって特に重要となりそうな箇所を抜粋して説明します。
Q. 小規模事業者や個人事業主も対象となるのか。
A. 対象となります。支援の対象となる中小企業の範囲は、中小企業基本法と同様となります。
中堅企業だけでなく、中小企業、個人事業主まで対象になるようですので、こぞって申請すべきです。筆者の周辺でも新型コロナで大きな影響を受けて、さらに2回目の緊急事態宣言により致命的な影響を受けている小規模事業者、個人事業主が多くいます。
Q. 売り上げ減少要件の「コロナ以前」とはいつを想定しているのか。また、「任意の3ヵ月」は連続していなければならないのか。
A. 売上高減少要件の具体的な確認方法や考え方は、公募要領等で詳細を提示いたしますのでもうしばらくお待ちください。また、「任意の3ヵ月」は連続している必要はございません。
連続する3ヵ月ではなく、非連続の3ヵ月でよいので、より多くの中小企業が補助金の対象となります。実際のところ、ほとんどの中小企業が対象となるでしょう。
Q. ものづくり補助金などの他の補助事業との併用は可能か。
A. 原則として、同一の事業や機械装置等に対して、複数の国の補助金を受給することはできません。ただし、他の国の補助事業とは別の事業を行う場合は、補助対象となり得ます。
補助金の2重受取が認められないのは仕方ないでしょう。第3次補正予算には「ものづくり補助金」の特別枠が含まれています。これはコロナ後のビジネスモデルの転換に向けた補助金です。補助金の主旨は事業再構築補助金と似ており、補助率は事業再構築補助金と同じ2/3です。通常枠のものづくり補助金の補助率が1/2ですから有利な制度です。
となると、事業再構築補助金とものづくり補助金の特別枠のどちらが優先すべきかが課題となりますが、おそらく事業再構築補助金の利用が有利となるでしょう。
事業再構築補助金とものづくり補助金(特別枠)を比較すると、次のようになります。
上の表を見ると、補助率は変わりませんが補助額の上限が再構築補助金のほうが高額です。また、採択率は、事業再構築補助金は第3次補正予算の目玉ですから、ものづくり補助金(特別枠)よりも高確率で運用すると予想します。
補助金の詳細が明らかになっていない現時点では、中小企業は「事業再構築補助金」を最優先したほうがよさそうです。補助金対象事業が1つであれば、再構築補助金を申請し、もし不採択であれば「ものづくり補助金」で再挑戦が現実的な進め方です。
また、補助金あるあるですが、第1次に申請したほうが採択率が高い傾向にあります。そのため、一刻も早く補助金申請をすべきなのですが、現在はオンライン申請となっており、さらに申請前にアカウント設定が必要です。しかし、費用は一切かかりませんので、今のうちに設定をしておきましょう。筆者もある補助金申請の際に、想定以上にアカウント審査に時間を要することがわかり慌てた経験があります。
なお、補助金の申請は、「Jグランツ」という電子申請システムでの受付を予定しています。申請するには、GビスIDの「gBizプライム」の取得が必要で、発行に2~3週間要する場合があるので、補助金の申請を考えている人は、事前のID取得をおすすめします。
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